ミレニアル思考をどう取り入れるか
企業がミレニアル世代に対応するには、どうすればいいか。まず今までの考えからすれば、良い条件を出して採用していけばいいかもしれません。しかし、ここで一つ考えなければいけない事があります。
ミレニアル世代の経営者として活躍する年代は、2000年代初頭のITバブルや2008年のリーマン・ショックを端緒とした金融危機など、厳しい経済環境のあおりを目の当たりにし、我々過去の世代とは異なる価値観を持っています。
安定した企業、安定した経済は彼らにとっては信じられないものとなり、自分の尺度で価値観を決めるようになったのは不思議な事ではありません。失業しているから親と同居しているという面もあるとは思いますが、成功してもシェアハウスで仲間と暮らし続けるような若手経営者もいるのですから、我々の価値観で判断するのは妥当な判断とは言えないでしょう。
つまり、既存企業が彼らを今の価値観で採用するのは、どう考えても難しいという事です。
企業がミレニアル人材を採用できないのであれば、選択肢は多くない。まず考えられるのは、ミレニアル世代の発想法に着目し、同じ発想法に企業が生まれ変わる事だ。ミレニアル世代のビジネスの特徴は、アイデアの斬新さにもかかわらず、使っている技術が必ずしも最新ではないという事だ。
直感力とデザイン思考
このミレニアル世代の直感的な発想に、コンサル業界、広告業界、最近ではSIerまでも注目している。具体的には、伝統的な「ビジネス」と「テクノロジー」という両軸をベースに事業変革、戦略に右脳的な発想方である「エクスペリエンス」という軸を加え、ミレニアル世代の特徴である直感的なビジネス発想を再現しようという事です。
この「エクスペリエンス」を理解する事がデジタルの世界では大きな意味がある。エクスペリエンスとは一言でいえば、“直感的に面白く、これまでになかった体験”という概念であるが、これを支えるのが「デザイン思考」です。
次回は、デジタル思考のキーとなる「エクスペリエンス」を理解するため、デザイン思考について勉強していきましょう。
Peace out,
- 松永 エリック・匡史
- 青山学院大学 地球社会共生学部 教授
アバナード株式会社 デジタル最高顧問
青山学院大学国際政治経済学研究科修士課程修了 - イノベーションをリードするデジタルコンサルティングの草分けであり、バークリー音楽大学出身のプロミュージシャンという異色の経歴を持つアーティストとしても活躍。コンサルタントとして、アクセンチュア、野村総合研究所、日本IBM、デロイト トーマツ コンサルティング メディアセクターアジア統括パートナー(執行役員)、PwCコンサルティング合同会社 デジタルサービス日本統括パートナーを経て現職。近書は「外資系トップコンサルタントが教える”英文履歴書完全マニュアル”」。