海外コメンタリー

電力会社や重要インフラ狙うサイバー攻撃の実情--US-CERTレポート - (page 3)

Steve Ranger (ZDNet UK) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2017-10-27 06:30

 標的となるネットワークに対しては、若干内容の異なるスピアフィッシング電子メールキャンペーンが仕掛けられる。これらの電子メールは「AGREEMENT & Confidential」(合意書および機密事項)という表題となっており、PDF文書が添付されている。PDF内にはダウンロードが自動的に開始されない場合に備えてクリックするためのリンクが用意されており、それをクリックしてしまうとマルウェアがダウンロードされる。こういった電子メールすべては、攻撃者が狙いを定めている一般的な産業用制御システムや産業用制御機器、プロセス制御システムに言及した内容となっている。

 こうしたキャンペーンでは、業界関連の出版/情報ウェブサイトを改ざんし、悪意のあるコンテンツを仕掛け、最終的な標的のネットワークに侵入するための踏み台にするようなことも行われている。

 標的となるネットワークへの侵入を果たしたハッカーは、目的とする被害者のファイルサーバを検索して産業用制御システム、すなわちSCADAシステムに関するファイルを探し出す。その際には、ベンダー名のほか、「SCADA Wiring Diagram」(SCADA機器類の接続図)や「SCADA panel layouts」(SCADAのパネルレイアウト)といったファイル名を含むリファレンスドキュメントを見つけ出そうとする。

 この攻撃の背後にいるのが何者なのかは明らかになっていないものの、分析のなかでは「APT」(Advanced Persistent Threat:高度かつ永続的な脅威)と称されている。APTは多くの場合、国家が背後にいるサイバー犯罪者を指す際に用いられる。また同レポートは、セキュリティ企業Symantecが実施した調査の結果にも言及している。Symantecはその調査レポートのなかで、攻撃者を「Dragonfly」(「Energetic Bear」という別名もある)と呼んでいる。Symantecによると今回のキャンペーンは、国家の関与する、高度な技術力を用いた攻撃行動である可能性が十分にあるという。

 「このグループは豊富なリソースを有しており、さまざまなマルウェアツールを駆使し、数多くの第三者ウェブサイトを攻撃しながら、複数の攻撃ベクタを通じた攻撃を実施する力を持っている。その主たる動機はサイバー諜報活動であり、同能力を利用して妨害活動を起こすだけの力も副次的に有していると考えられる」(Symantec

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. クラウドコンピューティング

    生成 AI の真価を引き出すアプリケーション戦略--ユースケースから導くアプローチ

  2. セキュリティ

    セキュリティ担当者に贈る、従業員のリテラシーが測れる「情報セキュリティ理解度チェックテスト」

  3. セキュリティ

    サイバー攻撃の“大規模感染”、調査でみえた2024年の脅威動向と課題解決策

  4. セキュリティ

    IoTデバイスや重要インフラを標的としたサイバー攻撃が増加、2023年下半期グローバル脅威レポート

  5. セキュリティ

    従業員のセキュリティ教育の成功に役立つ「従業員教育ToDoリスト」10ステップ

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]