ゲームソフトメーカーのカプコンは、コンテンツ配信ネットワーク(CDN)を活用することで、コンテンツやパッチデータの配布を高速化している。
ゲームを取り巻く環境は大きく変化している。ゲームソフトは従来のようにパッケージ版だけでなくダウンロード版の占める割合が増加。配信先についても、PCゲームやブラウザゲームに加えて、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末や、ネットワーク機能を備えた据え置き型ゲーム機器などに多様化している。
また、ゲーム機の高性能化により画面の解像度が大きく向上。より高精細なコンテンツが好まれるようになった。その結果、ファイルサイズが巨大化する傾向にある。ゲーム企業がDDoS攻撃などのサイバー攻撃の標的になるケースも増えているという。
ゲーム配信を全て自社設備で処理するには、サーバやネットワーク機器の導入や維持などに膨大な費用が掛かる。配信スピードとコストの最適化を目的として、CDNの導入を決め、2012年からアカマイ・テクノロジーズの製品を利用している。
具体的には、ウェブ配信「Dynamic Site Delivery」、ソフトウェア配信「Download Delivery」、DNSセキュリティ「Fast DNS」、ストレージ「NetStorage」を組み合わせてゲーム配信環境を構築した。
大容量化するパッチデータのダウンロード時間の高速化、ダウンロード完了率の向上を実現した。クライアントプログラムによっては数十GBのファイル容量になる場合があり、データ配信量が月間でペタバイト規模になることもあるとしている。
コンテンツやパッチデータを配信した当日はアクセスが集中しがちだが、ダウンロードに時間が掛かっていたらユーザーの離脱を招きかねない。あるゲームのメジャーバージョンアップでは帯域ピークが120Gbpsに達したが、自前のデータセンターで提供しようとしたら高額な回線を用意しなければならなかったという。