楽天証券は、コールセンターに寄せられる問い合わせなどの架電記録の中から、潜在的な要望などを抽出する概念実証(PoC)を始めた。検証期間は約1カ月間を予定している。
楽天証券のコールセンターには毎日、顧客から数多くの問い合わせがあり、取引の基本的な問い合わせや取引システムの操作方法などの質問、改善要望やクレームなど、さまざまな「顧客の声(VOC)」が寄せられている。このうち、コールセンターのオペレーターが改善要望やクレームと判断したものには「要対応」とチェックを付け、サービスの改善に役立てているという。
しかし、オペレーターが記録を付ける際に要望やクレームとは捉えていなかった問い合わせの中にも、実は「要対応」だった案件が含まれている場合がある。そのため、「要対応」のチェックが付いていない問い合わせについても確認を行っているが、全体の件数が多いため全てに目を通すことが難しいという課題がある。
今回のPoCでは、「要対応」のチェックが付いていない問い合わせの記録を人工知能(AI)を使って網羅的にチェックし、実は対応が必要な案件を抽出する仕組みを構築する。具体的には、通話記録の中から、検知したい改善要望やクレームの過去の記録を「教師データ」としてAIに学習させることで、キーワードや電話で話す内容が異なっていても、同じような意味やニュアンス、傾向を持つ記録に高いスコアを付けられるように精度を向上させる。
FRONTEOが独自開発した人工知能エンジン「KIBIT」を活用する。人間の心の「機微」(KIBI)と情報量の単位である「ビット」(BIT)を組み合わせたもので、「人間の機微を理解する人工知能」を意味するとしている。
楽天証券が進めるPoCのイメージ(出典:FRONTEO)