BlackBerry Security Summit

「我々はソフトウェアとサービスカンパニーだ」--BlackBerry CEOが宣言

末岡洋子

2017-10-26 07:30

 カナダのBlackBerryは10月24日と25日、英国ロンドンで「BlackBerry Security Summit 2017」を開催した。24日の基調講演では、同社のエグゼクティブチェアマン兼最高経営責任者(CEO)のJohn Chen氏が集まった500人以上のパートナーや顧客を前に、セキュリティを中心としたソフトウェア企業への転身戦略の成果を披露した。


BlackBerry エグゼクティブチェアマン兼CEOのJohn Chen氏

 BlackBerry Security Summitは、同社がセキュリティ技術の紹介を目的に、毎年米国ニューヨークで開催するイベント。今回で4回目となり、米国外で開催する初のSecurity Summitとなった。

 QWERTYキーボードとセキュリティの高いメッセージングができるスマートフォンメーカーとして一世を風靡(ふうび)した同社だが、iPhoneの登場後、タッチ主導の新しいスマートフォンのトレンドに乗ることができず、苦境に陥る。立て直しを目的に約4年前に幹部を入れ替え、以来ハードウェア事業からソフトウェア中心のビジネスモデルへ転身を図っている。

 基調講演は、その立役者であるChen氏がBlackBerryの方向性を説明した。

 Chen氏はまず、セキュリティ市場の現状から話した。2017年もセキュリティの話題は事欠かない。CEO辞任に至った信用情報会社Equifaxのデータ漏えいによる損害は1億4300万ドルと見積もられている。その前のWannaCry問題では150カ国の企業が影響を受け、40億ドル相当の被害が及んだという。

 IoTにより攻撃領域は拡大しており、2016年サイバー攻撃による被害は4000億ドルだったのが、2021年には6兆ドルと予想されている。企業のサイバーセキュリティ投資は800億ドルから1兆ドルと10倍以上の拡大が予想されるが、人材不足の課題はもっと大きくなる。現在20万人分のサイバーセキュリティ職が空いたままになっているが、2021年にはさらに深刻になり、350万人になるという。

サイバーセキュリティが関連した問題はさらに深刻化すると予想されている''
サイバーセキュリティが関連した問題はさらに深刻化すると予想されている

 Chen氏の下、BlackBerryは音声とデータの暗号化技術Secusmart、バーチャルSIMのMovirtu、エンタープライズのデータ同期・共有のWatchDox、危機管理のAtHoc、モビリティ管理のGood Technology、サイバーセキュリティサービスのEncriptionなどの買収を重ねてきた。そして2016年末、セキュリティミドルウェア「BlackBerry Enterprise Server(BES)」や買収した技術を合わせ、「BlackBerry Secure Platform」として1つのプラットフォームにすることを発表した。「1つのプラットフォーム、1つのユーザー体験」とChen氏は説明する。

 BlackBerry Secure Platformの下、BESは「BlackBerry UEM」、Good Dynamicsは「BlackBerry Dynamics」、WatchDoxは「BlackBerry Warkspaces」などとBlackBerryブランドに統一し、分かりやすくした。

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