クラウド活用や新たなデジタルビジネスの拡大に向けて
デルの清水博 執行役員 広域営業統括本部長
SAPジャパンも中堅中小企業向け事業に注力している。今年1月に営業組織体制を強化するとともに、商品ラインアップの拡充やパートナー企業との協業を進めている。この取り組みをアピールするため、同社は今年4月と8月に会見を開いた。両会見で説明に立った同社の牛田勉バイスプレジデント ゼネンラルビジネス統括本部長が、「SAPジャパンとしてかつてない取り組みだ」と語ったのが強く印象に残っている。こうした同社の動きについては、2017年8月3日掲載の本コラム「中堅中小企業向け事業に注力するSAPジャパンの“本気度”」を参照いただきたい。
これら有力なITベンダー3社が同時期に、中堅中小企業向け事業に注力している背景には、システムのクラウドへの移行や、新たなデジタルビジネスの拡大といった市場の変化が大きく影響しているようだ。特にクラウドの活用については、その特性からもともと中堅中小企業にメリットが大きいとみられていたことから、ここにきて具体的に取り組む企業が増えてきているとの手応えを3社とも感じているようだ。
ただ、3社とも中堅中小企業向け事業に注力するのは、これが初めてではない。これまで幾度か取り組んだものの、確固たる事業に育て上げられなかった背景がある。筆者の感触では、今回は3社とも成長軌道に乗っているようだが、果たしてどこまで大きく育て上げることができるか。注目しておきたい。