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NEC、ベクトルプロセッサとx86を融合したスーパーコンピュータを開発

渡邉利和

2017-10-26 09:43

 NECは10月25日、ベクトルプロセッサを搭載したカード型VE(Vector Engine)をx86サーバに搭載するハイブリッドアーキテクチャのスーパーコンピュータシステム「SX-Aurora TSUBASA」を発表した。同日に受注開始し、2018年2月以降に出荷を始める。

 SX-Aurora TSUBASAは、現行機種「SX-ACE」との比較で、プロセッサ当たりの処理性能を10倍に引き上げた。これにより、640プロセッサ・10ラックのSX-ACEと同等の性能を64プロセッサ、1ラックのSX-Aurora TSUBASAで達成できる。このため設置面積は10分の1、消費電力量は5分の1に引き下げられる。ラインアップは搭載するVE数に応じて、タワーサーバ型(VE×1、エッジ用)、ラックマウントサーバ型(VE×2~8、オンサイト用)、ラック型(VE×32~64、データセンター用)の3種類を展開する。最小構成価格はエッジ用で170万円から、データセンター用で1億2000万円からとなる。

SX-Aurora
SX-Aurora TSUBASAのベクトルエンジン(VE)を掲げるNEC 執行役員常務の福田公彦氏

 概要を説明した執行役員常務の福田公彦氏は、データ量の爆発的な増加や人工知能(AI)/シミュレーション技術の発展によって、より多くの計算処理能力が求められる一方、ムーアの法則に従って性能向上を続けてきたスカラ型プロセッサのアプリケーション性能は伸び悩み、かつてのような性能の向上を望みにくくなっている現状を指摘した。その上で解決策として、現在注目を集めているGPGPUによる処理は演算性能特化型のアプローチであり、比較的少量のデータに対して複雑な演算処理を行う用途には強いものの、大量データを扱うメモリ性能依存型の処理には不向きであるとし、この領域で強みを持つベクトル型プロセッサの新製品を投入する意義を明らかにした。

 製品技術の詳細についてITプラットフォーム事業部 事業部長代理の愛野茂幸氏は、SX-Aurora TSUBASAでは、従来のベクトルプロセッサベースのコンピュータとは異なり、ベクトルプロセッサをPCI-Express接続の拡張カードに搭載し、x86プロセッサを搭載した汎用的なサーバに組み込むことで、いわばベクトルプロセッサを専用ハードウェアアクセラレータのように利用するハイブリッドアーキテクチャを採用した、と説明する。


NEC ITプラットフォーム事業部 事業部長代理の愛野茂幸氏

 OSも、従来の専用OSに換えてLinux(Red Hat Enterprise Linux 7.3)を採用する。x86/Linuxサーバ部分は“ベクトルホスト”と呼ばれ、Intel Xeon Gold 6100シリーズもしくはSilver 4100シリーズを、1基または2基搭載する一般的なIAサーバとなっている。

 一方、VEは一般的なハイエンドグラフィックカードやGPGPUモジュールと同様の外見の拡張カードとなっており、コアの動作周波数(1.6GHz/1.4GHz)やメモリ搭載量(24GB/48GB)の違いで3モデルがある。プロセッサコアは倍精度演算で307GFlops、単精度で614GFlopsという世界最高性能を記録。データアクセス性能は1.2TB/secという、こちらも世界最高性能を達成しているという。メモリは、TSMCと共同開発した世界初の搭載技術によって、6個の3次元積層メモリHBM2とプロセッサコアを接続している。

 先行するGPGPUシステムもx86プロセッサとの組み合わせで動作する点は同様だが、GPUGPUではアプリケーション処理の一部をGPGPUで処理することになるため、プログラミングに特別なノウハウを要するなど、使いにくい点があったという。一方、SX-Aurora TSUBASAでは、VEで実行するアプリケーションは、自動ベクトル化/自動並列化機能を備えた同社独自のベクトルコンパイラ(Fortran/C/C++)でコンパイルしたものを利用する。一部処理だけのオフロードではなく、アプリケーションが丸ごとVEで実行される形になるため、プログラミングも容易だという。

 開発目標として「高性能」「使いやすさ」「さまざまな用途に向けたラインアップ」の3点を掲げたSX-Aurora TSUBASAは、従来の特定用途向けに特化したベクトル・スーパーコンピュータとは異なり、設置場所や規模が柔軟に変更でき、これまで以上に広範な利用が生まれることを期待しているという。AIやシミュレーションなど、高度なデータ処理を必要とする場面が次々と生まれてきていることも、需要拡大の追い風となりそうだ。

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