筆者が所属するForrester Researchは、2017年と2018年の世界のテクノロジ市場に関する展望レポートを発表した。このレポートでは、企業および政府のテクノロジ分野のソフトウェア、ハードウェア、サービスに対する世界的な支出は、為替変動の影響を除くと、2017年に3.4%、2018年に4%拡大すると予想している。
もっとも拡大幅が大きいのは、ソフトウェア分野とテクノロジコンサルティングサービス分野で、どちらも2017年には4.3%成長し、2018年にはさらに加速して6%以上の伸びを見せると予想されている。ハードウェアは回復の兆しを見せ始めており、コンピュータ機器分野は2017年に2.6%、2018年に3%拡大し、通信機器分野は微増で、2017年に3.1%、2018年に1.5%の成長を見せると見込まれている。アウトソーシングおよび通信サービス分野の支出は伸びが鈍化しており、2017年は約2.2%、2018年には2%以下の水準になると見られる。
Forresterが発表した最新のテクノロジ市場予想では、次の4つの大きな展開が見られるとしている。
- 経済状況の改善が、世界的なテクノロジ市場の拡大を後押しする。2017年に入って、2016年に市場を揺るがした政治的および経済的サプライズから常態に戻りつつあり、このことが経済成長に寄与している。この相対的な安定性は、企業や政府が2018年のテクノロジに関する支出計画で、積極的な姿勢を取ることを後押しすると予想される。
- クラウド分野は急速に成長するが、それに伴ってオンプレミス関連技術に対する支出が減速するため、全体的な成長率は押し下げられる。クラウドアプリケーションとクラウドプラットフォームサービスに対する支出は、2桁成長を遂げると見られる。ただしこの成長は純粋なプラスではなく、従来型のソフトウェア、ハードウェア、テクノロジサービスに対する支出を奪う形になる。クラウドビジネスアプリケーションなどの分野では、サブスクリプションの売上高がライセンス販売の売上高をすでに上回っており、2018年の成長率は10%近くになると考えられる。その一方で、ミドルウェアソフトウェア、システム統合サービス、テクノロジアウトソーシングなどの分野では、クラウドが全体の支出に占める比率は、従来分野の1桁成長を埋め合わせるだけの規模に達していない。
- 米国やその他6カ国では、2017年のテクノロジ市場の成長率が4%以上に達する。2017年の中国、インド、インドネシア、韓国、スウェーデン、デンマーク、米国の市場は堅実な成長が予想される。ブラジルとロシアは景気後退を克服する過程にあり、成長率はほかの国々よりも低くなる。
- バックオフィス技術とビジネステクノロジの間の差が縮まり始める。CRM、eコマース、顧客アナリティクスや、その他の顧客の獲得、対応、維持を支援するテクノロジ(Forresterはこれらを「ビジネステクノロジ」(BT)と呼んでいる)に対する支出は、世界のテクノロジ支出全体の28%にまで増え、新規プロジェクトの支出の半分以上を占めるようになる。ただし、BTのフロントオフィスシステムに対する支出の伸びが、新たなシステムを支えるバックオフィス技術を変えるための投資を促し始めており、その結果2018年には、この分野の成長が加速し始めると予想されている。
引き続き多くの国に経済成長に関するリスクが残っており、企業のテクノロジに関する予算と支出計画の実施については、依然として一定の警戒が必要とされる。しかし、ビジネスの展望について、2017年の初めよりも楽観視できる材料が増えていることは確かだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。