IT分野のコンポーネントで最も有名なブランドと言えるIntelは、クラウドやIoTといったテクノロジ分野だけでなく、人工知能(AI)分野におけるブランドとしても名をはせることを目指している。
これをひと言で表すと、同社はAI版の「Intel Inside」(インテル、入ってる)を目指しているということになる。
Intelは、企業の幹部らが推進するようなデジタル変革から距離を置いた企業という位置付けから脱し、顧客とともに未来に向けて試行錯誤していく企業へと変わっていこうとしている。米国時間10月24日にニューヨーク市で開催されたIntelの「SHIFT 2017」イベントにおいて、同社幹部らは顧客やデータ科学者、パートナー企業に向け、次に来るものについての概要を説明した。
IntelでAI製品グループの最高技術責任者(CTO)を務めるAmir Khosrowshahi氏は、「世界がIntelの顧客だ」と述べた。同氏は、Intelが2016年に買収した大規模AI配備のプラットフォームを提供するNervana Systemsで、共同創業者兼CTOを務めていた人物だ。またIntelは、買収のわずか2カ月後にNervanaのテクノロジをロードマップに統合し、現在では新しいクラスの製品とともに「Nervana Neural Network Processor」(Nervana NNP)を市場に投入すると述べている。
Intelのニューラルネットワークプロセッサ(NNP)は幅広い企業におけるさまざまなAI利用を念頭に置いて設計されている。
提供:Intel
Stifel FinancialのアナリストKevin Cassidy氏は、リサーチノートで以下のように述べている。
われわれは、新興AI市場におけるIntelの役割が軽視されていると考えている。(そう考えている理由には)同社のプロセッサが現在でもGPUベースのシステムに必要とされている点だけでなく、AI分野はまだ揺籃期にあるということから考えて、明確な勝者が1社、あるいは複数現れる前にさまざまなソリューションが評価されるようになるという点がある。Intelは複数のAIソリューションを提供しており、それには「Xeon Phi」コプロセッサやFPGAのほか、MobileyeやMovidius、Nervanaの買収を通じて培ったソリューションが含まれている。
Khosrowshahi氏の目標はシンプルだが難しい。その目標とは、多目的で使えるAIプロセッサの実現だ。GoogleやAppleは自社用として独自のAIプロセッサを開発している一方、Intelはほとんどの企業で利用できるAIの能力を実現しようとしている。