VMwareとNTT Com、マルチクラウド化に向けた協業拡大を発表

國谷武史 (編集部)

2017-10-30 17:02

 米VMwareとNTTコミュニケーションズ(NTT Com)は10月30日、クラウドサービスでの協業拡大を発表した。NTT Comは2018年1~3月期中に、「VMware Cloud Foundation」などを利用した新サービスの提供を世界各国で予定する。

 今回の協業拡大によりNTT Comは、同社のクラウドサービス「Enterprise Cloud」で下記のサービス提供を検討していく。

  • VMware Cloud Foundationによる専有型クラウドの提供
  • VMware vCloud Directorを活用した共有型クラウドの提供
  • VMware vCloud Availability for vCloud Directorを活用したウォームマイグレーションサービスの提供

 またNTT Comは、併せて「VMware NSX」と同社のセキュリティサービスとの連携や、同社のクラウド管理ダッシュボードサービス「Cloud Management Platform」と「VMware Cloud Services」との連携も検討している。

協業拡大に基づく新サービスの提供イメージ''
協業拡大に基づく新サービスの提供イメージ

オンプレミスとクラウドを接続する企業需要はこれから

 記者会見したNTT Com 取締役クラウドサービス部長の森林正彰氏は、協業を拡大する理由に、オンプレミスのVMware環境で稼働する基幹システムをクラウド環境に移行あるいは拡張したいとする企業ニーズの高まりを挙げた。

 同氏が引用したIDC Japanのクラウドサービス市場の予測によると、国内のプライベートクラウド市場の規模は2016年の約309億3000万円から2021年には約1兆6045億円に、パブリッククラウド市場の規模は同383億9000億円から1兆986億円に拡大する見込み。NTT Comは、特にユーザー企業が「NTT Comのサービスを占有型で利用するプライベートクラウド」にフォーカスしているという。

 NTT ComとVMwareの協業は2007年に始まり、NTT ComはVMwareベースのIaaSなどを提供するほか、ソフトウェアデファインド(ソフトウェア定義型)のネットワークや運用管理、セキュリティ、他社クラウド接続などのサービスを展開している。

 森林氏は、ユーザー企業の基幹システムが今後、これまで以上にオンプレミスや多数のクラウドサービスと接続して利用されていく過程で、統合的な運用管理性がますます求められていくと説明。協業を拡大することでユーザーが利用可能なVMwareのプラットフォーム環境を広げ、運用管理やセキュリティなどの同社のサービスも組み合わせることで、IDCの予測にあるような将来の企業ニーズを獲得していく考えだ。

協業拡大を発表するNTTコミュニケーションズの森林氏、VMwareのGelsinger氏、Appenzeller氏(左から)''
協業拡大を発表するNTTコミュニケーションズの森林氏、VMwareのGelsinger氏、Appenzeller氏(左から)

 VMware 最高経営責任者(CEO)のPat Gelsinger氏は、企業のシステムで稼働するワークロードの多様化がクラウドの利用拡大につながるとし、VMware Cloud FoundationやVMware Cloud Servicesなどをクラウドサービス事業者と展開することで、同社の仮想化ソリューションをより多くの企業に提供できると述べた。

 VMware クラウド・ネットワーキング担当最高技術責任者のGuido Appenzeller氏は、同社が実施したというユーザー企業のクラウドに対する意識調査の結果を紹介。パブリッククラウドの利用率は、2016年の56%から2017年は77%に増加したが、パブリッククラウドで実行されているワークロードは5%から6%へ、わずか1%しか増えていないと説明した。

 同氏は、ユーザー企業がさまざまなパブリッククラウドサービスの利用に乗り出した段階にあり、将来的にワークロードが増える過程で、従来のオンプレミス環境における“サイロ化”の問題が再発しかねないと指摘。VMware Cloud Foundationなどの活用がサイロ化問題の再発を回避する方法だと強調している。

VMwareとクラウドプロバイダーとの協業におけるサービスモデル''
VMwareとクラウドプロバイダーとの協業におけるサービスモデル

 下記は発表会における主な説明資料の画像となる。

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