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記事まとめ「テレワーク常態化で見えたこと」

生産管理の「属人化」解決を目指す--信州ハムがシステム内製化に踏み切った理由

藤本和彦 (編集部)

2017-11-01 07:00

 食肉加工メーカーの信州ハムは、基幹業務の製造工程を管理する生産管理システムを「FileMaker」で内製化した。iPadを工場内に設置し、各工程でのデータ入力を徹底するようにした。生産工程のリアルタイムな可視化と、有事の際の食品追跡を実現した。

新生産管理システムのトップ画面
新生産管理システムのトップ画面

 信州ハムは、長野県上田市にある本社と工場を中心として全国11カ所に営業拠点を置いている。上田工場の年間生産量は約9600トン。ハムやベーコン、ソーセージ類を主に生産している。発色剤、着色料、保存料、リン酸塩を一切使用しないで作られた「グリーンマーク」シリーズ、手作りの本物の味を目指すというコンセプトで作られた「爽やか信州軽井沢」シリーズを主力商品としている。

 食肉加工工場では、原料の追跡や異物の混入対策など、常に正確かつ迅速な対応が求められる。しかしながら、20年以上前に導入した既存の基幹システムでは、原価や実績などの最新情報や製品・半製品の在庫数量の可視化ができないという課題があった。また、システムに重複してデータを入力していたり、各部門での情報の共有ができなかったり、情報管理が属人化して一元管理できていなかったりという問題もあった。システムの保守期限が過ぎていたため、今後のメンテナンスが難しい状態だった。

 信州ハム 執行役員 経営企画部 部長 兼 社長室 室長の小口昇氏は「経営層は工場内で何が起きているか意外に分かっていなかった。現場から上がってくる声を真に受けざるを得なかった」と振り返る。当時は手書きの書類も多く、生産現場の歩留まり管理、原価計算も詳細には対応できていないのが実情だったという。

 こうした課題を解決するため、新たな生産管理システムの構築プロジェクトをスタートさせた。一方、「食肉加工の工程は非常に複雑であり、自社独自の生産工程に合ったシステムの構築は困難だった。システム開発会社に外注すると億単位の費用が掛かることが分かった」(小口氏)

作業中のぬれた手でiPadを操作する必要がある
作業中のぬれた手でiPadを操作する必要がある

 そこで、「小さく入れて大きく育てる」を基本的な考え方として、大規模な設備投資をせずに製造現場の負荷を軽減できるシステムを目指した。2015年4月の計画立案から、5月のトレーニング、6~9月のプロトタイプ開発、10月の現場テストを経て、2016年1月にシステムを完成させた。まずはハムやベーコンなど製造工程が比較的シンプルな“単味品”で使い始め、現在ではソーセージを含め全ての生産ラインでシステムを本稼働している。

 「とにかくスピード優先でシステムの試作を繰り返した。4カ月でプロトタイプを開発し、10月には試用を始められた」と信州ハムサービス 取締役 情報管理部 部長の土屋光弘氏は話す。

 社内にはiPadがおよそ60台あり、そのうちの50台はWi-Fi環境が完備された工場内で、10台は経営層や管理部門の閲覧用として使われている。iPadにインストールされた「FileMaker Go」を使って「FileMaker Server」にホストされた生産管理システムを利用する仕組みとなっている。社外での利用も考え、クラウド環境を活用している。

 工場内では、生産部門の各工程にiPadが置かれ、作業が終わるたびにデータを入力する。生肉や水、調味液などを扱うため、iPadは防水ケースに入れられ、各種機器のそばに設置されている。

 細かい操作や書き込みが難しい環境にあるため、ケース越しでも見やすく使いやすいインターフェースを設計した。また、工場には外国人労働者も多いことから、機能が持つイメージをアイコン化して、理解しやすいように工夫した。

豚肉の部位が分かりやすいようにアイコン化した
豚肉の部位が分かりやすいようにアイコン化した

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