Microsoftが、クラウドネットワークのダウンタイムをなくせるようにすることを狙った技術である「クラウドスケールのエミュレータ」を開発している。
提供:Microsoft
現地時間10月28日から中国の上海で開催されていた「ACM Symposium on Operating Systems Principles」(SOSP)で同社が取り上げた話題の1つが、「CrystalNet」と呼ばれるこのエミュレータだった。(注:Microsoftのサイトに掲載された同イベントのレポート記事では、CrystalNetは「MirrorNet」と呼ばれているようだ。もともとはこの名前だったのかもしれない)
Microsoftによれば、CrystalNetはMicrosoft AzureのチームとMicrosoft Researchのチームによって、2年間かけて開発された。
CrystalNetプロジェクトに関する記事の中で、Microsoftの担当者は「導入の前にテストを行うという考え方は古くからあるが、Microsoft Researchによる、あらゆる大手クラウドプロバイダーの文書化されたすべての障害を対象とした2年間の調査の結果、潜在的な問題のほとんどは、まず本番ネットワークを、まったく同一のネットワークのコピー上で検証することによって、事前に発見できる可能性があると考えた」と述べている。
CrystalNetでは、Microsoftの本番ネットワークと同じネットワークトポロジ、ハードウェア、ソフトウェア、設定を使用している。CrystalNetはさまざまな仮想マシン上のエミュレーションされたデバイスで動作し、多くのベンダーのネットワークデバイスのソフトウェアイメージに対応している。Azureのエンジニアはこれを使用することで、計画した変更内容やアップデートを、本番環境に導入する前に試すことができる。これによって、ソフトウェアの設定や人間のミスによって発生するネットワークの問題の数と深刻度を減らそうという考え方だ。
Azureのエンジニアは、CrystalNetを新しいネットワークの設計や、大規模なネットワークアーキテクチャの変更、ネットワークのファームウェアやハードウェアのアップグレード、設定の更新などを検証するのに使用している。また、ネットワークの自動化ツールや、同社のネットワークスイッチソフトウェア「Software for Open Networking in the Cloud」(SONiC)の開発とテストにもCrystalNetが使われたという。
Microsoftの担当者は、一部のAzureの顧客は、自社のエンタープライズネットワークのダウンタイム低減に使用できる可能性があるため、CrystalNetに関心を持っていると述べている。また、一部のネットワークデバイスベンダーも、この技術の可能性に関心を寄せているという。
同社はいつ、どのようにこの技術を一般に提供するかについては言及していないが、「CrystalNetに対する強い関心は、引き続きAzureのエンジニアと協力して、このテクノロジを完成に近づけていく原動力になる」と述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。