ガートナージャパンは10月31日から3日間、年次イベント「Gartner Symposium 2017」を都内で開催している。初日の10月31日、ゲスト基調講演として登壇したのは、GEジャパンの代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者)で、GEの本社役員も務める熊谷昭彦氏だ。
技術力主導の巨大企業として歩んできたGEが、「顧客視点」をより鮮明に打ち出し、デジタル化を図っている。ここでは、GEジャパンの社内改革について話した基調講演「Transforming to a Digital Industrial Company-次世代製造業に向けたGEの挑戦」の様子を紹介する。
改革の柱は3つ。ビジネスモデル変革、サプライチェーン改革、企業文化の改革だ。
カイゼンの文化を持つ日本に大きな可能性
パイロット向けアプリ「FlightPulse」で燃費の改善、CO2排出量低減などを目指す
ビジネスモデル変革では、GEが主導する製造業向けIoTの取り組み「Industrial Internet」の事例として、GE Aviationとカンタス航空が共同開発したというパイロット向けアプリ「FlightPulse」について説明。GEの産業機器向けIoT基盤「Predix」をベースにしており、現在では、旅客と貨物合わせて1500人を超えるカンタス航空のパイロットが利用している。導入効果として、運行効率の向上による燃費の改善、二酸化炭素排出量の低減寄与などに期待している。
熊谷氏は日本におけるIndustrial Internetについて「大いなる可能性がある」と話す。「カイゼンの文化を持つ日本企業は、生産性向上に対する意識とオペレーションや製造の現場力が強い。Industrial Internetによって“デジタルカイゼン”を進められる」(熊谷氏)
SCM改革で「ブリリアントファクトリー」へ
改革の2つ目として、サプライチェーン改革を挙げる。GEが持つ工場操業に関するノウハウ、制御システムとセンサ技術、ITソフトウェアなどを生かすため、サプライチェーン全体をデジタルでつなぎ、リアルタイムでのデータ分析や効率化を図った。
「GEの450工場をブリリアントにした」とする熊谷氏。GEヘルスケア 東京・日野工場は、最新設備やロボットを積極的に導入するのではなく、既存設備や人的資産を生かしながら、最適化と生産性向上を目指しているという。「見える化から最適化にシフトする」と狙いを話している。
GEヘルスケア 東京・日野工場の取り組みを説明する熊谷氏