企業の生産性が低い理由
「生産性の向上」は働き方改革の主目的とされているが、阻害要因はどこにあるのだろうか。金氏はこの点について、(1)社員のスキル不足、(2)長時間の労働文化、(3)仕組みの不足の3点を挙げる。

生産性向上を阻む理由
時間で管理する人事制度からの脱却や業務の負担を削減する仕組みの導入、業務の標準化や社員個人のスキル向上をなくして、労働時間の削減だけをしても効果は出にくいという。
その裏返しとして、マネジメントの意識改革と就業時間に代わる生産性と評価制度の確率が生産性を高めるための施策として重要になる。生産性向上のための具体的な施策としては、「業務内容の見直し・削減」(52.2%)、「管理職の意識改革」(39.8%)、部門内外の連携強化(29.9%)、「給与面でのインセンティブ」(24.8%)、「時間ではなく成果による評価制度導入」(20.6%)がこれに当てはまる。
ICT活用は半数以下、「積極的」は7%
働き方改革でのICT活用の現状として、「積極的」(7%)、「部分的」(37%)を合わせて計44%が何らかの形でICTを活用していると回答。具体的なツールとしては「経理・財務システム」(40.4%)、「グループウェア」(33.2%)、「ビデオ会議システム」(31.1%)が上位となった。
「働き方改革においてICTを積極的に活用している企業は少なかった。また、オペレーション業務の作業効率化に投資していることも明らかになった」(金氏)
一方、AI(人工知能)やRPA(ロボティックプロセスオートメーション)、IoT(モノのインターネット)といった最新技術が生産性向上に寄与するとの回答は76%に上ることが分かった。「最新テクノロジに対する期待は高い」(金氏)とした。
働き方改革調査から得られた気づきとして、およそ49%の企業が働き方改革の目的を生産性向上に置いているものの、生産性を図る仕組みがない(77%)、業務を見直せていない(73%)、ICTによる業務削減を実施(5.7%)など、生産性向上への取り組みが十分とはいえない点や、社風・意識・コミットメントに課題(71%)、人事制度変革に取り組んでいる(8.2%)など積極的に現状を変えようという意識が低い点をまとめた。