「ネットワークはこれから自動運転の時代になっていく」
(シスコシステムズ 濱田義之 執行役員CTO兼CSO)
シスコシステムズの濱田義之 執行役員CTO兼CSO
シスコシステムズが先頃、今後の事業戦略について記者説明会を開いた。同社の執行役員でCTO兼CSOの濱田氏の冒頭の発言は、新しい時代のネットワークについて語ったものである。
濱田氏はまず、「今日ネットワークに接続されているデバイス数が84億個で、これが2020年には毎時100万個のペースで増えていく」と指摘。こうしたネットワーク接続が爆発的に増大する中で、「新しい時代のネットワークが求められる」と語った。
では、新しい時代のネットワークとはどうあるべきなのか。濱田氏はその重要な要素として、「コンテキストを活用」「インテント主導」「直感を重視」の3つを挙げた。(図参照)
図:新しい時代のネットワーク
同氏によると、誰が、いつ、どこで、何を、どうしようとしている、といったコンテキスト(文脈)情報をネットワークから集め、例えば、セキュリティ上の脅威を可視化するといったことに活用していく。また、インテント(ビジネスの意図)主導とは、例えば、ビジネスのニーズをネットワークインフラに反映させようとすると、多くのマニュアル作業が必要になるが、それらを全て自動化しようというアプローチである。
そして直感を重視とは、これまで蓄積してきたネットワークデータを活用しながら、使えば使うほど賢くなっていくネットワークを実現するといった意味合いが込められている。こうした取り組みをシスコがどう支援していくのか。その支援策が「Cisco DNA」と呼ぶソリューションである。
同社では、Cisco DNAの具体的な製品群として、シンプルな管理によって運用コストを削減する「DNA Center」、ネットワークの展開や変更を迅速に行う「SD-Access」、全ての脅威を監視して対処する「Encrypted Traffic Analysis」、問題が発生する前に予測する「Network Data Platform」、インフラとなるスイッチ「Catalyst 9000シリーズ」を整備している。
濱田氏はこうしたツールを活用して、冒頭の発言にある「ネットワークの自動運転化」を実現していく構えだ。これはいわば、人工知能(AI)を活用した「ネットワーク進化論」である。その進化に注目しておきたい。