ーークラウドコンピューティングによりハードウェア業界は激動期にあります。製品ポートフォリオで足りないものは?
Baker氏 これまでのインフラという点では、不足しているものはない。それどころか、多くの分野で競合よりも先行している。
われわれが注意しているのは、何か新しいことが起こっているのに、その流れを見過ごしたということがないようにすること。そこで5月に、ベンチャー投資Dell Technologies Capitalを発表した。
資産の発展も重要だ。例えばPivotalは顧客が自社のITをモダン化するのを支援する素晴らしい技術をもつベンチャーで、ビジネストランスフォーメーションと技術のトランスフォーメーションを同時に実現できる。Pivotalを補完できるものは何か、”サードプラットフォーム”(IDCが提唱する言葉で、PCなどの”セカンドプラットフォーム”に対し、クラウド、ビックデータ、モビリティなどの市場を指す)など新しい技術プラットフォームの動きを見逃すことがないようにしている。
ーーライバルのHewlett Packard Enterprise(HPE)は自社のフォーカスを狭めているが、Dellは拡大しています。
Baker氏 単純に2社を比較するなら、HPEは投資家に自分たちのポジショニングを理解してもらおうとしており、Dell Technologiesは自分たちのポジショニングを顧客に理解してもらおうとしている。
HPEのフォーカスは業績結果にはあらわれていない。HPEが”迅速に動く”と言っているサーバ分野で、われわれはシェアを拡大している。
2社は全く異なる道のりを選んでいる。どちらが正しいかは将来わかる。Dellは顧客の満足にフォーカスしており、っわれわれはこれが正しいと信じている。さらに言うなら、HPEが満足させようとしている投資家は、決して満足しない人たちだ。
ーー戦略担当として優先課題は?
Baker氏 たくさんあるし、全ては明かせない。
全体としては、顧客フォーカスを継続すること。そして、Dell Technologiesが掲げる4つの柱(ビジネストランスフォーメーション、ITトランスフォーメーション、ワークフォーストランスフォーメーション、セキュリティトランスフォーメーション)を実行すること。このうち、Dell EMCは主としてITトランスフォーメーションを担っている。これまでの”ベスト・オブ・ブリード”からハイパーコンバージドへのシフトを支援する。今後も顧客の課題を解決し、業界をリードできる戦略を敷いていく。
ーー顧客にフォーカスを、具体的にどうやって実行する?
Baker氏 顧客が直面している”崩壊”を理解することからスタートする。顧客の多くがサービスプロバイダ化しており、自社顧客のニーズを満たすために何をすべきかを考えている。
顧客フォーカスとはパートナーフォーカスも意味する。実際、パートナーはDell EMCにとってとても重要。我々は2月、包括的なパートナープログラムを発表したが、これはパートナーと共に進めていくという意思表明でもある。チャネルパートナーが自社顧客のニーズを満たすのに必要な技術をそろえ、チャネルとも連携を取る。
われわれは非公開企業であり、投資家の意見に邪魔されずに顧客にフォーカスできる。顧客とパートナーのニーズを満たす体制を作っている。これはさらなる競争優位を生むだろう。