富士通と中国レノボグループがPCの合弁事業を進めることで合意した。両社の協業は将来的に、PC以外のシステム事業にも広がるのではないか。
両社首脳が「魅力的な製品・サービスを提供」と強調
両社のPCにおける合弁事業の内容は、富士通の100%子会社である富士通クライアントコンピューティング(FCCL)の株式51%をレノボに、同5%を日本政策投資銀行(DBJ)に売却するもの。売却時期は2018年度第1四半期(2018年4〜6月)の予定だ。
これにより、富士通のFCCLへの出資比率は44%となり、PC事業は連結対象から外れる。売却額は280億円で、そのうちレノボが255億円、DBJが25億円となる。従って、FCCLはレノボ主導となるが、社名や経営陣、製品ブランドには変更がなく、工場を含めた従業員の雇用も維持されるという。
商流については、法人向けは従来通り富士通経由で、サポートも富士通が行う。また、国内の個人向けはFCCLが販売・サポートを行う形となる。
両社の協業について、富士通の田中達也社長とレノボのヤンチン・ヤン会長兼CEOは発表会見で次のように語った。
富士通の田中達也社長(右)とレノボのヤンチン・ヤン会長兼CEO
「当社がこれまで30年以上にわたって培ってきた製品開発力と製造能力に加えて、レノボが持つ世界屈指の調達力を活用するのが狙い。これにより、国内およびグローバルのお客様に一層魅力的な製品・サービスを提供できると考えており、まさに最高のコラボレーションである」(田中氏)
「この協業は当社の日本市場に対する強いコミットメントを表したものである。日本をはじめグローバルでの当社のビジネスをさらに強固なものにすると期待している。両社の強みを合わせたシナジー効果によって、お客様により魅力的な製品・サービスを提供していきたい」(ヤン氏)
両氏とも口を揃えて「魅力的な製品・サービスを提供したい」と強調していたのが印象的だった。