企業が経済環境に対して楽観的になっていることから、2018年のIT予算事情は今よりも若干改善すると見込まれている。このため予算の増額を勝ち取るチャンスは大きくなるが、最高情報責任者(CIO)やIT部門の責任者の予算要求に対する吟味も、前年より厳しくなる可能性が高い。
その理由はこうだ。
2018年には、過去5年間企業の重要な投資分野だったデータアナリティクスへの投資が縮小すると予想されている。これは、最高経営責任者(CEO)やその他の企業幹部が、アナリティクスへの投資は、過去の投資からある程度の成果が上がり始めるまで控えるべきだと感じているためだ。
モノのインターネット(IoT)をはじめとする、その他のビッグデータ関連テクノロジについても、支出は縮小する。IoTは多くの企業で、依然として萌芽期のテクノロジだとみなされている。
その代わり、セキュリティや、エンタープライズネットワークのエッジで安全性を確保するための、インターネットに接続されるハードウェアやソフトウェアに対する支出に重点が置かれると見られている。
この記事では、CIOやその他のITリーダーが、2018年の予算を獲得するために注意すべき点についてまとめる。
1.テクノロジに関する質問が増えることに備える
最高財務責任者(CFO)やその他の予算の決定権を持つ役員は、新しいテクノロジドレンドを把握しつつある。このため、テクノロジに対して従来よりも具体的な質問が出る可能性が高い。例えば、テクノロジの仕組みや、会社にとってどのようなメリットがあるかを尋ねられるかもしれない。CIOやITスタッフは、それらの意思決定者とテクノロジに関する立ち入った議論を行う必要があるが、その際にはテクノロジを明快で、平易な言葉で説明しなければならない。
2.ROIついて十分な準備を整える
新しいテクノロジについて、仮定に基づいて投資対効果(ROI)の数字を示しても、以前ほど簡単に予算を握る役員を説得することはできなくなるだろう。CFOやその他の予算担当者は、テクノロジへの初期投資を取り戻せることを示す試験的なプロジェクトの結果や、証明できる根拠に基づいてROIを算出するよう求めてくる。
3.資金面での選択肢に関する質問への答えを準備する
CIOやITリーダーは、あらかじめベンダーと資金面での選択肢について議論した上で、予算案を作成することを求められるようになる。ここで言う選択肢には、機器の無条件購入契約、古い機器の下取り契約、買い受け特約付きリース、純粋なリース、使用頻度に応じた従量課金、あるいはオンプレミスとクラウドベースのシステムの両方に適用される、クラウドベースの使用頻度に応じた従量課金モデルなどが含まれる。CIOやITリーダーは、これらの選択肢についてCFOと議論する準備を整えておくべきだ。例えば予算に関する議論は、資産を購入して減価償却するのではなく、運用費用に計上して減価償却を不要にできないかという話になることもある。

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