日本航空(JAL)は、自社で運営する航空券予約サイトのアクセスログデータ、会員情報、搭乗履歴などを人工知能(AI)で分析し、航空券の購入傾向を予測する実証実験を2017年9~11月にかけて実施した。データサイエンティストと同精度の分析を短時間で完了させることができたとしている。
JALは現在、マーケティングをはじめとして、さまざまな領域でAIを活用したたデータ分析の高度化を進めている。高度な分析スキルを有するデータサイエンティストの不足や、保有する膨大なデータをどのように活用するかが課題となっていた。
今回の実証実験では、NECのAI技術群「NEC the WISE」の中から「予測分析自動化技術」を用いて、航空券の購入を検討している利用者がウェブ上でどのような行動をしているかをテーマとした。その上で、分析に有効なデータ項目となる「特徴量」の推測と「予測モデル」の自動構築が可能であるかを確認した。
その結果、大量のログデータから、これまで人間が気付かなかったような時間軸を考慮したページ閲覧行動や特定のクレジットカードの利用回数などの特徴的な顧客行動(特徴量)を数時間程度で発見した。予測モデルに関しては、経験豊富なデータサイエンティストが設計したモデルと同程度の精度が得られることを確認したとしている。
ユーザーの購買行動を迅速に把握できるようになることで、より適切なタイミングでの情報提供が可能になる。また、予測モデルを短時間で構築できることから、現行よりも数多くの施策を立案・実施できるようになるとしている。
データ分析・予測モデル構築のフロー(出典:NEC)