米Teradataは、10月に開催したユーザーコンファレンス「Teradata PARTNERS Conference 2017」で「ビジネス成功の要となるのは、正しい分析環境の構築や実装と、適切なデータ分析から導き出される」と訴求。これらを実現する機能やサービスとして、「Agile Analytics Factory」や人工知能(AI)機能を提供すると発表した。
こうした機能やサービスの主軸となっているのが、2014年8月に買収したビッグデータコンサルティング企業の米Think Big Analyticsだ。現在はTeradataの一部門として、データ分析やコンサルティングサービスを手掛ける。同部門のトップであるRick Farnell氏は「企業がAIを活用した分析環境を迅速に展開できるよう支援したい」と語る。
「われわれにはThink Big Analytics時代から蓄積した、各業界固有のナレッジがある。さらにTeradataの一員となることで、コンサルティングサービスからデータ分析機能の実装までを一気通貫で提供できるようになった」と語るFarnell氏。
AIによるデータ分析が注目される中、どのような戦略でビジネスを拡大していくのか。Farnell氏は日本メディアのグループインタビューに応じ、今後の方向性とその戦略について語った。
市場の厚みが増す
――Teradataの買収以降、Think Big Analyticsの業務内容やビジネスの方向性に変化はあったのか。

Teradata Think Big Analytics部門シニアバイスプレジデント Rick Farnell氏
買収によって大きく変化したのは、顧客対象となる市場の厚みだ。買収以前は米国市場しかフォーカスしていなかったが、買収以降は世界中にいるTeradataの顧客とその市場がターゲットになった。顧客層も(Teradataの顧客がメインになったことで)変わったと言える。
Teradataは(どのような環境でも)データを分析できる「TERADATA Everywhere」を戦略として掲げている。Think Big Analyticsは分析や(それを実現する)ソフトウェアを提供することで、同戦略を担う重要なコンポーネントの1つとなっている
――分析ソリューションを提供するベンダーは多い。競合と捉えている企業を教えてほしい。
われわれはTeradataの一部門だ。だからTeradataの競合企業――たとえば、OracleやSAPなど――はすべて競合企業だと言える。
コンサルティング分野のみにフォーカスすれば、(さまざまなレイヤで)競合するベンダーはいるだろう。しかし、われわれはTeradataの一部門として、分析の戦略立案からデータサイエンスのナレッジの提供、AI技術の実装、運用のサポートまでを提供している。
Teradataの優位性はソフトウェアプラットフォームを有していることであり、顧客が必要としている分析を実現できる機能をソフトウェアとして出している。顧客は自社の使い方に応じ、クラウドでもオンプレミス環境でもTeradataのソフトウェアを利用できる。
今回発表した金融業界向け「Financial Crimes Accelerator」は金融のトランザクションにフォーカスしたもので、機械学習や深層学習といった技術を適用して不正検知率の改善を支援する。(Financial Crimes Acceleratorは)その戦略の一環だと言える。