Johnstone氏は、ITの環境整備を行う新たな手法を模索し続けている。同大学では最近、Citrixの「XenDesktop」を使った仮想デスクトップソリューションを導入し、IGELのシンクライアント端末を整備した。XenDesktopはMicrosoftの仮想化プラットフォーム「Hyper-V」で動いており、HPEの「Enterprise Moonshot」サーバ上で実行されている。
同氏は、仮想化環境は最新の学習環境を提供する上で役に立っていると述べている。またこの環境整備において、クラウドは重要な役割を果たすと考えているという。ただしオンデマンドITのもっともよい使い方は、ビジネスの要件が変化した際に、柔軟性を発揮させることだというのがJohnstone氏の意見だ。
「クラウドは私にとって、おかしなところのある存在だ。多くの意味で、私はまだクラウドについて判断できずにいる」と同氏は言う。「これまで大学では、ITを組織内で整備してきたが、一気にクラウドに拡大することもできる。IT環境を強化したいという判断があれば、ハイブリッドクラウドを使うことで、短期間でキャパシティを拡大できる」
2.信頼できるプロバイダーと協力して、メリットを拡大する
Wonga UKの最高技術責任者(CTO)Tarah Lourens氏も、ビジネスにとってクラウドのメリットは柔軟性だと考えており、同社でオンデマンドITを積極的に利用している。Lourens氏の狙いは、使われていないテクノロジを廃止し、古い要素の再プラットフォーム化を行うことだという。同氏のチームは、古いシステムを解体して、クラウドで利用できる一連のマイクロサービスに仕立て直している。
「ビジネスの要求を満たすため、規模を拡大できるようにすると同時に、必要に応じてエンジニアリング能力も強化したい」とLaurens氏は述べている。「Amazon Web Services(AWS)を最大限に活用していきたい。パブリッククラウドは、利用できるようになったキャパシティの面でも、イノベーションの面でも急速に進歩していると考えている」
専門家らは、クラウドの急速な発達に備える最善の方法は、1つのプロバイダーに依存しすぎないようにすることだと考えている。また一般的に、最高情報責任者(CIO)は信頼できるプロバイダーの幅広いエコシステムを利用した方がよいと考えられている部分もある。リスクを分散することで、状況が変化しても、必要に応じて利用するリソースを切り替えることができるというわけだ。
しかしQuocircaの調査によれば、クラウドプラットフォームの導入を早めるために必要な変化として、もっとも回答が多かったのは、異なるプラットフォームをつなぐAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)を含む統合に関する問題と、ワークロード管理のインテリジェントな自動化だった。柔軟性の点では優れているが、統合は極めて重要であり、複数のプロバイダーを利用することでリスクを分散する戦術には、大きなコストがかかる可能性がある。