今週の明言

日本IBMの社長が説く「ビジネスでのAI活用のポイント」 - (page 2)

松岡功

2017-11-10 11:00

「日本企業は“品質と安全・安心”で世界に挑め」
(IIJ 鈴木幸一 代表取締役会長兼CEO)


IIJの鈴木幸一 代表取締役会長兼CEO

 インターネットイニシアティブ(IIJ)が先頃、都内で開催したユーザー企業向けイベント「Lead Initiative 2017」において、鈴木幸一代表取締役会長兼最高経営責任者(CEO)が基調講演を行った。冒頭の発言はその際、日本企業が世界で戦う上での強みとするところを述べたものである。

 鈴木氏は、かねて気にかけてきたことの1つに、グローバル市場で確固たる存在感を持つ日本企業がまだまだ少ない点を挙げた。それは、今年で設立25周年を迎えたIIJにも当てはまるという。

 なぜ、少ないのか。同氏は、「IIJもそうだが、本当にグローバル市場で戦おうとする企業の発想になっていなかった」との見方を示した。では、本当にグローバル市場で戦おうとする企業の発想とはどのようなものか。同氏は次のような例を示した。

 「例えば、米国のICT企業は、100円と値付けしたアプリケーションの開発に数十億円も投資するという。私たちからすると考えられないようなことだが、彼らは1億本を売ったら100億円になると考える。つまり、最初からグローバル市場を見据えてビジネスを考えているわけだ。私にもIIJを設立した当初からこういう発想ができていれば、もっと早くからグローバル展開を図れたかもしれない」

 鈴木氏自身の反省の弁も含めた話だが、それというのも同氏いわく、25年前に設立されたIIJは当時、世界で2番目のインターネットサービスプロバイダー(ISP)だったとか。インターネットサービスはもともとグローバルなビジネスだけに、当初からグローバルに展開する発想があれば――。という、同氏のビジネスチャンスを逃した感覚は理解できる。

 その上で同氏は、「インターネットはクラウドやデジタルトランスフォーメーションを支えるインフラであり、インターネットがそれらを作り出したとも言えるが、問題なのはこの環境でグローバルスタンダードを獲った企業に追い付くことが困難になってしまっているということだ」

 それは、GoogleやAmazon、Facebookなどを見ると、もはや起こりつつあることといえよう。ならば、日本のICT企業は今後どう世界に挑んでいけばよいか。そこで同氏がICT分野に限らない形で語ったのが冒頭の発言である。「品質と安全・安心は日本の得意とするところ。この2つをベースに新しい製品やサービスを打ち出していけば勝機はある」とのメッセージが印象的だった。

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