IDCが新たに発表した調査結果によると、より多くのITサービスがインターネットを介した「XaaS」として実現されるなか、クラウドサービス市場は進化を遂げているが、クラウドコンピューティングにおける従来の3本柱、すなわちSaaSとPaaS、IaaSは2017年も今のところ安定した成長をみせているという。
同調査結果によると、世界パブリッククラウドサービス市場は2017年上期の売上高合計が632億ドルに達し、前年同期比で28.6%の成長をみせたという。しかしSaaSとPaaS、IaaSそれぞれの成長率は大きく異なっている。
大手のインターネット企業から新興企業に至るまでのさまざまな企業によって膨大な数のSaaSアプリケーションが提供されており、SaaSセグメントはパブリッククラウド市場全体のシェアの69%近くを占めている。しかし、前年同期比でみた場合、SaaSは3つの主要セグメントのなかで最も低い22.9%という成長率にとどまっている。
IDCでクラウドおよびSaaS、業界のクラウドプラクティスを担当するプログラムバイスプレジデントであるEric Newmark氏は、「多くの企業ではクラウドに移行しやすいアプリケーションという観点に立ち、成果の得やすいところから手がつけられてきている。こうした企業は現在、次にSaaSモデルへと移行するより大規模な戦略的システム(すなわちERPやサプライチェーンといったアプリケーション)の移行について評価している段階だ」と述べるとともに、「これらのプロジェクトは、デジタル変革を積極的に推進するための企業の取り組みとともに、SaaSの力強い成長をけん引し続けるだろう」と述べている。
これに対して、PaaSセグメントは市場シェアこそ最も低い(13.6%)ものの、前年同期比での成長率は50.2%と最も高くなっている。IDCは、PaaS市場の成長がコンテナテクノロジの急速な普及によってけん引されていると述べている。
IDCのクラウドプラットフォームおよび開発者向けサービス担当リサーチマネージャーであるLarry Carvalho氏は「どのベンダーも自社のソリューションに手を加え、アプリケーションライフサイクル全体を自動化しようとしており、開発者らは平均を上回る成長率をベンダーらにもたらしている」と述べている。
IaaSセグメントでは、プロバイダーという観点で見ればAmazon Web Services(AWS)が優位に立っており、同社はパブリッククラウドサービス市場で17.8%のシェアを獲得している。前年同期比での成長率は38.1%となった。IDCによると、IaaSの成長は、IaaSサービスの全体的な粒度、そして提供されている付加価値のあるサービスの数の伸びによって高まっている。
IDCのIaaSリサーチディレクターDeepak Mohan氏は、「『Azure Stack』や『VMware Cloud on AWS』といった、最近市場にもたらされたサービスによっても、ハイブリッドITモデルを実現しやすくなり、エンタープライズへのクラウド導入のハードルが下がっている。これらのことが重なって、パブリッククラウドのIaaS上で次なるエンタープライズアプリケーション導入の波に向かう道が切り開かれている」と述べた。
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この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。