IDC Japanが発表した「2017年 国内企業のデジタルマニュファクチャリングへの取り組み状況とPLMソフトウェア市場動向の調査」の結果によると、国内製造業は経営課題として、2016年度は生産性向上やグローバルビジネスの展開と強化を図ってきたが、2017年度はこれらに加え、新製品開発やマーケティング強化を重視していることが分かった。
同調査は、国内製造業388社を対象に、製造10分野のデジタル化の実態を調査したもの。2016年度と2017年度での経営課題を実現する上で必要となるデジタル化の取り組み状況を6段階で調査した。
その結果、2016年度の取り組みは過半数がレベル0からレベル1の段階だった。「レベル0」とは、デジタル化未着手または検討中であり、「レベル1」は運用ルールなども含む基本的な生産情報を、紙ベースからデジタルデータに置き換える段階を指す。
業種別デジタルマニュファクチャリングの取り組み段階、2016年度実績
業種別にみると、電気機器やハイテク関連を始めとする組立製造業におけるデジタル化の取り組みが、プロセス製造業よりも進んでいる傾向がみられたという。今回は、IoT技術などの活用による生産ラインや製品の品質チェックのモニタリング(可視化)を行う「レベル2」の手前にあるとする回答結果に偏ったことについて、IDCでは工場がインターネットや企業ネットワークから分断されていることも影響しているとみている。
IDCは、国内製造業が早い段階から機械化と自動化による工場ごとの効率化に努めてきたが、一方でバリューチェーンの構築や、データ利活用に必要なIT化では諸外国に後れを取っていると指摘する。その上で、企業全体として生産性の向上を目指すには、管理が分断されてきた工場も企業ネットワークに取り込む必要があるとしている。