内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」

デジタライゼーションの推進におけるIT部門の関わり - (page 2)

内山悟志 (ITRエグゼクティブ・アナリスト)

2017-11-15 07:30

 クラウドサービスやサイバーセキュリティは、IT基盤やシステム運用に深く関係しており、従来からIT部門が主体的な役割を担ってきた分野といえます。それに対して、AIやIoTなどの新規技術の適用領域は、まさにビジネスの最前線といえる場面であることが多い分野といえます。IT部門は、今後こうしたビジネスITの分野で存在感を示すことができるかが問われることとなるでしょう。

 ここで、図1に示した7つのテーマに対する回答者数に着目してみましょう。全有効回答数が2554件であるのに対して、すべての項目が1400以上の回答となっており、半数以上の企業がこれらについて何らかの取組みを開始していることを表しています。こうした新規の取り組みにおいて専門組織を立ち上げるケースも増加しており、国内企業の多くがデジタライゼーションへ舵を切ったといえます。

 企業は、こうしたデジタライゼーションの潮流に押し流されることなく、自社の適用領域と活用シーンを的確に見極め、投資の枠組みや組織体制を整備していくことが望まれます。

 また、IT部門は各ビジネス部門が主体となって進めるデジタライゼーションへの取組みが、個別バラバラで無駄な投資が生じたり、将来性や拡張性のない技術の採用が行われたりしないよう、早期から相談を受け、アドバイスを提供していけるような体制を整えておくことが求められます。

内山 悟志
アイ・ティ・アール 代表取締役/プリンシパル・アナリスト
大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストとして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。現在は、大手ユーザー企業のIT戦略立案のアドバイスおよびコンサルティングを提供する。最近の分析レポートに「2015年に注目すべき10のIT戦略テーマ― テクノロジの大転換の先を見据えて」「会議改革はなぜ進まないのか― 効率化の追求を超えて会議そのもの意義を再考する」などがある。

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