サービスとしてのIT(ITaaS)は、IT部門がサービスプロバイダーとして企業にITサービスを提供する運用モデルだ。ITaaSで提供されるサービスは、社内のスタッフから提供される場合も、外部のリソースによって提供される場合もある。重要なのは、サービスがシームレスにつながっており、サービスがどのように提供されているかをエンドユーザーが知る必要がないことだ。
ITaaSを成功させるにはサービスの分野にも、テクノロジの分野にも人材が必要だが、多くの企業が大きな投資を進めているデジタル変革やクラウド化の領域では、人材の必要性が特に顕著になっている。しかし残念ながら、人材は往々にして不足する。
米国の中堅企業123社の財務担当役員を対象とした調査「2017 CFO Research」によれば、半分近く(49%)の幹部が、質の高いIT人材を引き付けて維持する能力がないことが、事業運営に不利に働いていると回答している。
社内のITスタッフに関する課題について聞く質問では、40%がIT部門が実施するよう求められているプロジェクトを推進するための技術およびサービスに関するスキルセットを持つ人材を社内で見つけることが課題だと回答している。ほかには、社内のIT部門に戦略的な計画とビジョンが欠如している(36%)、IT部門に事業に関する知識が不足している(34%)、IT部門にプロジェクト管理のためのスキルが不足している(33%)などが挙げられている。
人材の問題を解決するのは簡単ではない。これを解決するため、最高情報責任者(CIO)は直接的な雇用、個人との業務請負契約、業務委託、人材の共有などさまざまな戦略について検討している。もっとも求められているITスキルは、デジタル変革とクラウド技術に関する高度なスキルだ。
デジタル変革に必要な技術的スキルをIT部門が提供することは、必ずしも難しくない。むしろ、IT部門に不足しているのは、デジタル変革を推進するためのソフトスキル(対人スキル)だという。デジタル変革プロジェクトを推進しようとすれば、ユーザーがドキュメント管理などの新たなデジタル技術の習得方法を身につけるに従って、ユーザーと頻繁にやりとりする必要がある。
協力しながら物事を進め、サービスが利用される文脈を共有することは、多くのITプロフェッショナルにとっても簡単なことではない。ITプロフェッショナルは自分たちの仕事の技術的な詳細には関心があっても、知識やスキルを共有することについては消極的な場合もある。
同時に、クラウドコンピューティングの世界では、技術およびサービスに関する新しい主要なスキルセットが生まれつつある。これには、人工知能(AI)や機械学習、IoTなども含まれるが、既存のITスタッフがそれらのスキルを持っているとは限らない。
CIOは、スタッフが技術やサービスに関するニーズに対応できる体制を整えるために、デジタル変革や高度なクラウド管理に関するスキル不足の問題に取り組む必要がある。この記事では、企業が実際に利用している、人材獲得戦略の一部を紹介する。
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