雇用
Harvey NashとKPMGが2016年に実施した、3000人以上のITリーダーを対象とした調査では、回答者の65%が、IT人材の雇用が難しく、このことが事業に悪影響を与えていると回答している。需要が高いのは、データサイエンス、セキュリティ、クラウドコンピューティングの人材だという。これらのスキルはすべて、デジタル変革やクラウド技術にも直接関わるものだ。
企業が競争の激しい雇用市場で戦うには、魅力的な給与、職位、キャリアパスを提供しなくてはならない。また、好ましい社内文化や労働条件も必要になる。多くの企業は、人材管理システムを使ってスタッフの配置に必要な要件を予想し、どうすれば人材獲得や人材育成のニーズを(外部からの雇用か、社内でのクロストレーニングによるかを問わず)満たし、新しく必要になった職位に人を充当できるかを判断している。
一部の企業では、「ファームシステム」のアプローチを用いている。これは、地元の大学などと人材の育成や獲得に関するパートナーシップを結ぶものだ。このアプローチでは、企業はITカリキュラムの設計に関して大学の理事会を支援する。積極的な企業はそれにとどまらず、上級スタッフを派遣して最新の話題に関する授業を提供したり、大学の単位として認められるインターンシップを提供することまで踏み込んでいる。学生のインターンを引き受けることで、企業は学生を雇用するかどうか判断する前に、学生に関する情報を入手することができる。企業が就職をオファーする際にも、すでに社内のスタッフと仕事上の関係を結んだ人材にオファーできる。これによって、雇用に成功する確率が上昇し、同時に新卒学生をIT部門の仕事に早くなじませるための手段としても機能する。
IBMのChina Software Development Laboratory-Information Managementでz/OS用「DB2」開発マネージャーを務めるWei(Martin)Jiang氏は、「上海の同済大学と結んだ関係では、「System z」で使用する基本的なメインフレームに関するスキルの開発を推進しており、授業の内容をOJTインターンシップや正規雇用の要件と関連付けている」と述べている。「同大学と積極的に協力し、意見を交換することで、同済大学とわれわれの両方にメリットがあると感じている。同大学がすでに、議論した教育的なコンセプトを実現すべく、一連の行動を始めていることを嬉しく思っている」
個人との業務請負契約
個人との業務請負契約はIT部門がデジタル変革やクラウドに関する人材不足を補うために、企業が採用しているもう1つのアプローチだ。