米国の信用組合の世界では、次のような事例がある。
ある4つの小規模な信用組合は、IT部門や専門家を独自に抱えるだけのコストを負担できないため、協力してIT予算を組み、必要なIT専門家を雇った。また、データセンターと専門家の経費を分担し、リソースを共有した。これは4つの組合がすべて同じシステムを使用していたために可能になったことだ。IT部門は4つの「顧客」にサービスを提供しなければならないため、サービスセンターの形式を取った。CIOにとっての課題は、クラウドサービスの業務を担当するスタッフに、技術的なスキルと同じ水準でサービスとサポートのスキルも持たせることだった。これは場合によってはかなり難しい。
ある知り合いのCIOは、「われわれは数年前に、複数の金融機関にサービスを提供するクラウドベースのサービスに移行したが、それに伴って組織文化を変え、サービスの文化を形成する必要があった」と話してくれた。「われわれはその過程で何度も問題を経験した。重要な役割を負っていた技術スタッフのうち3人が、顧客サービスをやりたくないという理由で転職することを選んだ」
最後に
どの企業にも通用する人材獲得戦略は存在しないし、現在ではほとんどの企業が、デジタル変革やクラウド化を進めるために、複数の人材獲得手段を組み合わせて使っているはずだ。
この状況は当面変わりそうにない。
従業員を雇用するにせよ、個人請負契約を利用するにせよ、ベンダーに業務を委託するにせよ、従業員に求めるもの(そして成長の方向性のビジョン)を明確に定義することは非常に重要だ。また福利厚生や協力関係を気に掛けていることや、サービスを重視する企業文化であること、会社に対するスタッフの貢献を評価していることを明確に示すことも必要になる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。