IDC Japanは、国内IoT市場 コグニティブ(AI)活用動向調査の結果を発表した。
今後2025年に向け、全世界で年間に生成されるデジタルデータ量は2016年比で約10倍の規模(163兆ギガバイト)に増加するという。IDCでは、全体に占めるデータ量の観点からは、IoTを通じてセンシングされるデータIoTデータよりも、人間が主体的に生成する非IoTデータが予測期間を通じて圧倒的に高い割合を占めると予測している。
グローバルで1年間に生成されるデジタルデータの量、2016年〜2025年:IoTデータ/非IoTデータ別
同リポートでは、IoTと、一般的に「人工知能」や「AI」と呼ばれるコグニティブ分野に着目し、IoT/コグニティブの双方を組み合わせることによって生み出される価値について調査している。
製造業や運輸/運輸サービス業などでは、現在、社内に限定して業務効率化やコスト削減を実現しようとする「社内用途」のIoTに対する投資が続いている。しかし、IDCでは、IoT/コグニティブを「社外用途」として活用し、社外の顧客に対して何らかの付加価値を提供する取り組みを進める企業も最近増える傾向にあると指摘している。
こうした取り組みは、建設現場の作業効率の最適化、農林水産業の収益率拡大、小売業の業務プロセス/設備の改善、交通/社会インフラのスマート化、医療プロセスの高度化、電力データを活用したスマートホームサービス創出、保険サービスのカスタマイズ性向上など、ユースケースの幅を広げている。
そのうえで、新ビジネスを創造する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を成功させるには、IoTデータはもちろん、非IoTデータも組み合わせることで、「分析対象となるデータ」を最大化することが肝心になるとしている。
今回の調査では、「インサイトを生み出すデータ」の最大化を行うために、最適な分析アルゴリズムを生み出すコグニティブ基盤も併せて活用することが必須になることが分かった。
IDCでは、IoT/コグニティブを社外用途で活用して新しい外販ソリューションを生み出すことを「IoT Enabled Solution」と呼んでいる。そして、こうしたソリューションを創出していくためには、ベンダーが技術に関する知見だけでなく、産業に特化した業務知識も併せ持つ人を強化していくことが重要で、適切な人材教育プログラムを社内外に広げることが必須になるという。