技術にフォーカスしてはダメ、アウトカムを
既存企業としてデジタルトランスフォーメーションを進めているのが、Koneだ。Dreamforceではエレベーター、エスカレーターにセンサを付け、予測分析などを行うIoTとAIの事例として大きく取り上げられている。同社は長年のSalesforce.comユーザーであり、IoTプロジェクトではIBMとSalesforceのAI提携のメリットも享受した。
KoneのEhrnrooth氏は”もがき”に対し、自社の体験から次のようにアドバイスする。「企業が技術を応用するにあたって、技術のみにフォーカスすると組織内で恐怖が生まれる。スローになる。だが何を達成できるのか、なぜ自分の仕事が容易になるのか、顧客により良いアウトカムを提供できるのかを明確にすればスピードが得られる」。「顧客が求めているのは技術ではない」と付け加える。
技術について話すのをやめることに加え、技術は専門家に任せることも大切だという。「われわれは産業企業であって、技術を作るのではない。ベストパートナーを探し、彼らの技術を業界に応用すればいい」と述べる。Koneの場合は、インスピレーションはSalesforce.comとIBMから来ているという。
Ehrnrooth氏のコメントでもう一つ、興味深いのがアーリーアダプターである必要はないという意見だ。
引き合いに出したのはIoT。IoTは随分前から技術企業が話をしていたが、Koneは自社でIoTを適用するのではなく、技術企業が作ったソリューションを適用した。それも自社のペースで。これによるメリットは、「技術が成熟し、世界で数百万台ある我々のエレベーターやエスカレーターに利用しても大丈夫なレベルになった」のに加え、選択肢から選ぶこともできたという。「アーリーアダプターは、自社で構築しなければならないため苦労していた」という。
そこでもやはり、最初に何を達成したいのかのアウトカムを設定して、技術パートナーと組んだことがスピードと成功につながったと説明した。