米Extreme Networks 社長兼最高経営責任者(CEO)のEd Meyercord氏は11月16日、都内で記者会見を開き、新たな事業戦略を発表した。近年はAvayaやBrocadeの事業を買収し、ネットワークベンダーの3番手に躍進したと強調する。
Extreme Networksが獲得した事業などに使われていたブランド群。ネットワーク担当者にとっては懐かしい名前の製品がExtremeに集約されている
1996年創業の同社は、かつて2009年にネットワーク業界初の10ギガビットイーサネットスイッチを製品化するなど、ハードウェア技術を強みとする新興ベンダーとして知られた。2015年にZebra Technologiesの無線LAN事業、2016年にAvayaのネットワーク事業、2017年3月にBrocadeのイーサネット事業を買収し、市場調査会社のDell’Oro Groupによれば、エンタープライズ向けネットワーク市場では、2013年のシェア13番手から2017年はCisco Systems、Hewlett Packard Enterprise(HPE)に次ぐ3番手になった。
Meyercord氏は、企業向けやデータセンター向けなどの各ネットワーク製品分野でテクノロジリーダーだった企業や事業を取り込むことで、ネットワーク専業ながら広範な顧客ニーズに対応し得るベンダーへ成長したと主張。買収した企業や事業の顧客が保有する資産の保護を優先し、M&Aにありがちな事業や製品などの統合を推し進める戦略には走らないと説明する。
現在の事業戦略では、従来のハードウェア技術優先ではなく、ソフトウェア技術によるネットワーク管理の高度化やサービスに力点を置く。かつてのネットワーク製品では、スループット性能あるいはポートの高密度実装といったハードウェア技術が重視されたが、現在ではLAN/WAN、モバイルなどの複雑なネットワークインフラを組み合わせ、さまざまなアプリケーションの大規模トラフィックを効率的に処理できることが要求されるという。ネットワークニーズの変化への対応や、買収でポートフォリオに加えた製品などを連携させていく上でも、ソフトウェアによるアプローチが競合との差別化になるとした。
戦略を説明する社長兼CEOのEd Meyercord氏
製品戦略についてエンジニアリングプロダクトマネジメント担当バイスプレジデントのNabil Bukhari氏は、同社が買収した製品のユーザーの資産を保護しつつ、将来のIoT化やマルチクラウド環境に移行していけるアプローチを採ると説明する。
日本法人執行役社長の大野欽司氏
例えば、企業向けネットワークでは、ハードウェアを新たな環境に移行しても、従来製品のファームウェアや各種機能のソフトウェアは継続的に強化し、仮想マシン上で引き続き利用できる。データセンターネットワーク向けには、ユーザーが求める機能をソフトウェアで柔軟に組み合わせられるようにする。今後のロードマップでは、集中管理やサービス管理、仮想的なポート拡張といった機能モジュールを四半期ベースでリリースしていくという。
日本法人では、10月28日付でブロケード出身の大野欽司氏が執行役社長に就任した。Extreme Networksは、日本市場に進出した10年近く前には一定の知名度を得たが、大野氏は「現在の若い人たちにはほとんど知られていない。日本のビジネスをもう一度立ち上げる気持ちで臨み、大手メーカー中心の日本のネットワーク市場に一石を投じたい」と意気込みを語った。