2017年も「WannaCry」や「NotPetya」「Bad Rabbit」などの名前を持つさまざまなランサムウェアの脅威が世界的に流行した。12月が近づき、直近でTrend Microが発見したランサムウェアには、ホリデーシーズンをイメージさせる名前が付けられているが、その実態はやはり笑うに笑えない脅威を伴う。
「Kristina」(Trend Microの検出名は「Ransom_ANITSIRK.A 」)と名付けられた新たなランサムウェアファミリーは、iPhoneの設定プロファイルに含まれる234種類のファイルを対象に、AESのアルゴリズムによって暗号化を行い、拡張子を「.crypt12」に変更する。このランサムウェアはWindows環境でのみ動作するという。
「Waffle」(同Ransom_WAFFLE.A)は、Word文書に偽装したメッセージを介して広がっている。ユーザーが添付ファイルを開くとマイクロスクリプトが実行され、Tempフォルダに管理者権限でWaffleがインストールされる。Waffleは動画や音声、Microsoft Office関連などのファイルを暗号化し、ユーザーに50ドル相当のビットコインを身代金として要求する。
新種ランサムウェアファミリーの「Christmas」(同Ransom_SAMX.A)は、オープンソース由来とされる。発見した時点ではファイルを暗号化せず、まだ開発の初期段階にあるとみられるが、恐ろしいデザインの“クリエイティブ”な身代金要求メッセージ画面を表示する。
ランサムウェア「Christmas」の身代金要求画面(出典:Trend Micro)
「Foxy」(同Ransom_FOXY.A)もキャラクターを使いながら非常に恐ろしいデザインの脅迫メッセージを表示する。このランサムウェアは、「torrent」や「java」、Microsoft Office関連、動画像などの42種類のファイルを対象にAESのアルゴリズムを使って暗号化を行い、ファイル拡張子を「.nightmare」に変えてしまう。
ランサムウェア「Foxy」の身代金要求画面(出典:Trend Micro)
Trend Microによれば、これらの新種の他にも、従来のランサムウェアファミリーから新たな亜種が多数発生している。