——Oracleは今日のテクノロジ業界でどのような位置に付けているのでしょうか?
Fauscette氏:業界自体はこの20年でかなり大きく変化してきました。2000年代に入ってから、企業統合が大幅に増え始めました。そしてOracleは当時、他のアプリケーション企業を取り込んで自社のアプリケーションポートフォリオを拡充することで、幅広い品ぞろえを実現するという流れの先頭に立っていた企業の1つでした。その後ある時点を境に、インフラから、スタックの上位に向かい、アプリケーションに至るまでのすべてをクラウド上で実現するというソリューションの構築に向けて舵を切ったのです。
ここ数年、Oracleは(顧客)関係に対する変革や、ビジネス手法の革新に注力しており、販売しているほぼすべての製品ラインにサブスクリプション形式のビジネスモデルを取り入れるようになってきています。
同社はもちろん今でも、オンプレミス環境で従来型のアプリケーションを稼働させている、古くからの顧客を数多く抱えています。しかし同社の新製品は、データベースからアプリケーション層に至るまで、その大半がクラウドベースとなっています。同社が変革の途上にあるのは間違いなく、現在ではかなりの進展を見せていると言えます。
Herbert氏:Oracleは大手のテクノロジサプライヤー企業であるため、迅速な動きが難しい場合もあります。また、より小規模な企業、あるいは新興企業であれば挑戦するようなやり方でリスクに取り組むとは限りません。実際のところ、現在のアプリケーション市場やプラットフォーム市場、インフラ市場で巻き起こっているクラウド戦争への参入が、競合他社よりも少し遅れていたのはよく知られている話です。
とは言うものの、投資という面から見た場合、Oracleは巨費を投じています。Oracleは、顧客の要求に応えて新たな分野を手がける際には、多額の投資を実施するという特色を有した企業です。実際、同社はとてもユニークなところのある企業なのですが、それについてはまだここでの話題に上っていません。Ellison氏の持ち株比率がかなり高いため、同程度の規模である他の株式公開企業では無理な意思決定も可能になっています。この点はこれまで、同社の投資先選択に大きな影響を与えています。
クラウドという分野はOracleにとって、参入が少しばかり遅れたものの、大きな投資の対象となっています。この点は、投資対象の製品を見ればもちろん、そして同社の営業担当者の扱われ方を顧客の成功に向けた役割などの進化という観点から見れば分かるはずです。
そして同様に、テクノロジの新たな波が迫りつつあります。人工知能(AI)や機械学習、自動化、IoTといったデジタル変革です。Oracleはこの波にも投資してきています。ここでも同社は一番乗りというわけではありませんでしたが、豊富な資金を投入し、現在大きく注力していることは明らかです。