Ward-Dutton氏:プラットフォームに関して述べると、Oracleの戦略は防衛的ですが、それは必ずしも悪いわけではなく、驚くべきことというわけでもありません。同社の立ち位置や戦略は基本的に、近い将来における新たな投資対象の重心がクラウドになるという認識に基づいているのです。
同社にとって重要なのは、顧客の声に応えられるようにしておくということであり、顧客が他社に乗り換える機会を最小限に抑え、彼らに提示できる何かをいつでも用意しておくということなのです。
この防衛戦略は(防衛という点で積極さに欠けるものの)、40〜50万というOracleの顧客数を考えた場合、納得できます。同社の顧客をクラウドへの旅に導き、その旅の途中で彼らが必要とするサービスを提供することを確実にするだけで、非常に健全なビジネスを生み出せるのです。
また、Oracleは長きにわたって、若干保守的なメインストリームの企業に向けて製品を売り込んできています。Oracleがクラウドに向かう6つの旅について語った際、実際に「どれだけ速く、あるいはどれだけゆっくり進みたいかにかかわらず、われわれは常にその場におり、手を差し伸べます」と語っています。これが信頼と安全に向けたメッセージなのです。
——顧客の間でのOracleの評判はどのように変化してきたのでしょうか?
Herbert氏:私は今年の「Oracle OpenWorld」イベントで、顧客のサクセスストーリーが前面に押し出されているという大きな変化に気付きました。これは特筆すべき点です。
クラウドへの移行は、戦略的なパートナー関係の樹立を意味しています。というのも、単に移行するだけでは実際に機能を実現し、利点を享受したことにならないためです。この先の2年、3年、4年という長期的な視点で見て必要となるであろう機能や利点に対して投資するために、信頼できるベンダーとの長期にわたるパートナー関係を購入することになるのです。これが、大規模なパッケージソフトウェアを購入し、その後何年も使用し、そこかしこでアップグレードを実施する可能性があるもの(つまり、オンプレミスソフトウェア)からの大きな転換なのです。
Oracleは、数千万ドルにもなるソフトウェアパッケージを販売して大金を得るという文化から、サブスクリプションベースの、あるいは製品によってはペイアズユーゴーの形式に向けた移行を開始するうえで、素晴らしい仕事を成し遂げました。同社がこうした移行を成功させるには、顧客に契約を更新してもらわなければいけませんが、顧客は(真の)パートナーとなっていなければそうしないでしょう。これはOracleの文化における、そして同社が優先している役割におけるマーケットシフトなのです。