日本マイクロソフトは2017年11月17日、Microsoftが米ニューヨークで開催した「Connect(); 2017」で発表した内容を解説するイベント「Connect(); Japan 2017」を都内で開催した。本稿では午前中の基調講演及び特別講演の内容をご紹介する。
ビッグデータ分析はアウトカムと解析単位が重要
特別講演を行ったデータビークル 共同創業者 取締役副社長 西内啓氏は「ビッグデータ時代におけるクラウド活用戦略」と題して、ビックデータを生かせる組織の理想を掲げた。2015年に日本情報システムユーザー協会が実施した調査データでは、活用課題として「体制/組織の整備(45.9%)」「導入目的の明解化(44.8%)」「費用対効果の説明(38.9%)」が上位に並ぶ。
「現場の声を聞くと、誰もが『何をしていいのか分からない』という」(西内氏)。理想型として西内氏は、正しい整備→よい分析→分析方針に基づく指示→行動というサイクルを提示するが、各所に支障が起きてビッグデータ活用に対する不信感が生じるケースが少なくない。
データビークル 共同創業者 取締役副社長 西内啓氏
その理由は、業務データと分析用データの相違点を埋めるためのデータセット作成に工数の大半を費やし、無意味な分析を行っているケースが当てはまる。前者はIDの不一致や表記ゆれ、データ入力時に発生した欠損や異常値が原因。後者は体験的に推察できるような分析を導き出しても、アクションにつながらないため、企業は無駄な分析費用を支払うことになる。
だからこそデータビーグルでは、「業務データベースから分析用データを自動生成し、多様な変数から『意味のある要因』を自動探索して、分析結果は自然言語とグラフで表示」(西内氏)する結果を意思決定者に提示するという。
企業にとって価値のある分析イメージとは、顧客心理から客単価を導き出し、従業員能力を分析して営業成約率や人材数をそろえる。製品スペックを見直して利益が見込めない場合は在庫破棄するなど、「意思決定者がアウトカム(結果・成果)を念頭に判断する」(西内氏)ために分析データを活用すべきだと提言する。その上で、「売り上げやコストなど希望を具体的に定義する『アウトカム』と、顧客や従業員など希望を比べる『解析単位』を前提に取り組まなければならない」(同氏)。
さらに誰しもが利用できるデータサイエンス環境を整備するため、1部門からでも取り組む基盤を作り、アウトカムに直結させる「原材料やイメージ、広告媒体など売り上げにつながる部分を『変える』。そして、年齢や性別、地域など属性情報に対して『狙いをずらす』アクションが必要」(同氏)とまとめた。