化粧品大手のコーセーは、全社横断型のデータ分析基盤「KOMPAS」をクラウド環境で構築した。4月から本格稼働を始めている。営業部門や本社部門の約1200人が活用している。
KOMPASは、データウェアハウス(DWH)サービス「Amazon Redshift」と、ビジネスインテリジェンス(BI)ツール「SAP Business Objects Business Intelligence」を組み合わせて構築した。店舗支援システム、統合基幹業務システム(ERP)、販売時点情報管理(POS)などのデータを集約するETLツールには「SAP Data Integrator」を採用した。
これまで、商品の出荷実績や顧客の購買実績などを分析して、販売実績の把握やマーケティング施策の立案、新商品の開発などに役立ててきた。だが、データの参照元となるDWHは部門ごとに分散運用されており、BIツールも各部門でバラバラの状態だった。全社規模でのデータ分析やノウハウ共有などに課題があった。
こうした課題を解消するために、コーセーは全社横断型のデータ分析基盤の構築を決断した。部門ごとに分散していたDWHを統合し、BIツールを一本化した。
店舗訪問時に営業担当者が売上状況をグラフで可視化できるなど、分析結果の訴求力を大幅に向上したとしている。これまでブランド別の損益情報を確認するには帳票作成などの手間が必要だったが、新システムでは必要なときに即座に確認できるようになり、経営情報の分析力強化や効率化にも貢献しているという。

KOMPASのシステムイメージ(出典:TIS)