日本株展望

日経平均の敵か味方か--2018年の米国株を占う - (page 3)

ZDNet Japan Staff 2017年11月24日 10時50分

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米国株式の業績相場が2018年も続く可能性は?

 図表3は、米国株式(S&P500指数)と業績予想(12カ月先予想EPS=12 months forward looking EPS/市場予想平均)を長期にわたり重ねたものである。

 米国株の強気相場が「根拠なき熱狂」ではなく、業績拡大見通しを背景にした「根拠ある株価上昇」であったことが分かる。つまり、利益見通しが最高水準を更新し続ける中で、株価が最高値を更新してきた「業績相場」ということだ。

 また、米国のグローバル企業(米多国籍企業)にとり、海外経済(中国、欧州、日本などの経済)が同時的に底堅く成長している外部環境も業績面で追い風となっている。今後、市場がやや期待先行気味だった税制改革、特に法人減税が早晩実現する場合、米景気の押し上げ要因となるだけでなく、米企業業績のボトムライン(EPS)も5~10%程度押し上げるとみられている。トランプ政権の経済対策については、来年もその行方と経済的効果が注目されそうだ。

図表3:米国株式(S&P500指数)と12カ月先予想EPSの推移(週次)


注:12カ月先予想EPS(12 months forward looking EPS=Bloomberg集計による市場予想平均)
出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2017年11月17日)

 米国株式の主要指数が最高値を更新する中、「割高感」を警戒する声も増えている。確かに、上記した12カ月先予想EPSをベースにしたS&P500指数の予想PERは約18.2倍と、過去平均(1991年以降の算術平均=約16.1倍)をやや上回っており「割高」にみえる。

 ただ、株価の「割高」や「割安」はモノサシ(バリュエーション指標)の種類や時間軸により評価が異なってくる。本稿では、比較的簡便なバリュエーション手法として著名な「FEDモデル(通称)」で分析する。これは、アラン・グリーンスパン氏が議長をしていたFRB(米連邦準備理事会=FED)が1997年に米議会に提出した報告書に取り入れられた指標として知られる指標である。株式の予想PERの逆数(予想EPS÷株価)である「益利回り」と米長期金利(10年国債利回り)との差(益利回りスプレッド)を試算し、その高低から「債券と比較した予想PER面で株式が割高なのか割安なのか」を評価する。益利回りスプレッド(長期金利-予想益利回り)は、数値が高いほど株式が債券と比較して「割高」と判断され、数値が低いほど「割安」と判断される(図表4)。

図表4:「FEDモデル」(S&P500指数と益利回りスプレッド)


注:益利回りスプレッド=長期金利-益利回り(予想EPS÷株価)、予想EPSは=12カ月先予想EPS(12 months forward looking EPS=Bloomberg集計による市場予想平均)、長期金利=米10年国債利回り
出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2017年11月17日)

 例えば、2000年初めのITバブル時にはS&P500指数の予想PERが25~26倍に拡大。長期金利も6.7%まで上昇したので、当時の益利回りスプレッドは+2.8%まで上昇(2000年1月)。「債券と比較して株式はかつてないほどの割高」となった。その直後に、株式が弱気相場(ITバブル崩壊)を迎えた経緯がある。

 現在のS&P500指数の予想PER(18.2倍)の益利回りは約5.5%に相当するので、現在の長期金利(約2.3%)との差は「-3.2%」となる(11月17日時点)。1991年以降の益利回りスプレッドの平均(-2.0%)からすると、現在の株価は「金利水準を加味したPER面では、株式は割高どころか割安圏にある」ことが分かる。

 筆者は、米国の実体経済を考えると、2018年に米長期金利は3%程度には上昇していくと考えている。

 一方、S&P500指数ベースの2018年の暦年予想EPSは147程度(2017年予想EPSに対して+10%の増益/市場予想平均)と見込まれている。つまり、長期金利が3%まで上昇すると想定しても、S&P500指数の2018年予想PER(約17.7倍)から算出される益利回りスプレッド(-2.6%)では依然「株式の割高感」はない。

 長期金利の上昇ペースが緩やかにとどまり、業績(EPS)の拡大が続くと想定するなら、米国株式の強気相場(業績相場)は続き、株価には上昇余地があると見込んでいる。こうした、米国景気と米国株の堅調は、日本の株式相場にとっても追い風となりそうだ。

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