さて模倣サービス面についてはどうだろう。これは海賊版問題に手を付け始めてから、もう少し時間が経過した2013年あたりと論ずる記事がある。4Gとスマートフォンの本格普及により、誰もが気軽にネットに常時繋がるデバイスを持ち始めて、スマートフォン向けアプリ・サービスが続々と出てきた段階だ。
2014年には店舗がネットサービスと連携し、スマートフォンユーザーがそれを活用する「O2O(Online to Offline)」サービスが続々と登場した。中国全土に100万都市が多数あり、各都市では集合住宅が林立し人口密度が非常に高い中、O2Oサービスは他の多くの国よりも利用しやすい環境にあり、O2Oサービスは一気に普及し、人気のサービスは磨かれていった。
また前述のBAT3社の台頭により、いよいよネット産業が花形産業となると、プログラマー人口も一気に増えていった。開発者人口増加とO2Oの利用者人口増加の相乗効果で、他国よりも先に出て模倣サービスが目立たなくなったという見方がある。
現在中国ではネットユーザーのPCからスマートフォンへのメインデバイスの移行がほぼ完了している状態だ。11月11日のECセール「双十一」でも9割以上がモバイル向けアプリからの注文である。人口が多く、かつ密集する中国で、多くの投資金がIT業界に流れ、時に莫大な資金とともにサービスが投入され、さらに多くの人がサービスに触れ、サービスは磨かれ、オリジナリティは増していく。中国経済がよく、投資がIT業界に流れるうちは、中国のネットサービスはオリジナリティをつけ発展していきそうだ。
- 山谷剛史(やまやたけし)
- フリーランスライター
- 2002年より中国雲南省昆明市を拠点に活動。中国、インド、アセアンのITや消費トレンドをIT系メディア・経済系メディア・トレンド誌などに執筆。メディア出演、講演も行う。著書に「日本人が知らない中国ネットトレンド2014 」「新しい中国人 ネットで団結する若者たち 」など。