海外コメンタリー

ブロックチェーンは製造業をいかに変えるか - (page 2)

Charlie Osborne (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2017-12-04 06:30

 同氏は「この場合、製造企業はサービス部品のサプライチェーンにおいてIoTや予測分析を活用し、機器に故障が発生する前にあらかじめ修理を実施している」と付け加えたうえで、「ブロックチェーンは、世界規模のサービスサプライチェーンが部品運送の時間や場所を把握できるようにし、適切なタイミングでの修理を確実に実施できるようにするため、こういったプロセスにおける可視性の向上が実現できる」と語っている。

 ブロックチェーン内に格納されているデータは分散化され、ノードをまたがって共有される。このため同テクノロジは、継続的に一貫性を保つ必要がある共有データベースの実現や維持に利用することもできる。

 また企業はその規模に関係なく、ブロックチェーンテクノロジを用いることで、透明性の向上や、サプライチェーン内の問題の把握、業界プロセスの合理化を実現できる。

 例を挙げると、欠陥部品を装備した自動車を販売した結果、コストのかかるリコールや修理を実施する必要が出てきた自動車メーカーは、ブロックチェーンを利用すれば、欠陥部品を供給したサプライヤーをより効率的に洗い出し、問題の範囲を絞り込み、時間と人件費の削減を図れるようになる。

 Brooks氏は「ブロックチェーンをソリューションに用いることで、製造企業は生々しいアクティビティログ以上のものを手にし、企業間の品物の流れを管理できるようになる」と述べたうえで、「これによって透明性と統制が新たな段階に到達し、大企業は強豪と戦い、打ち勝つための武器を手にできる」と述べている。

 2015年にカリフォルニア州サンフランシスコのメキシコ料理店Chipotleで大腸菌による集団食中毒事件が発生した際、同社は食材供給元を介した感染源の特定に苦労した。そして感染源の特定に手間取ったため、感染拡大の防止に向けた迅速な手立てを打つことができなかったのだ。

 Brooks氏によると、ブロックチェーンは同様の事件を迅速に解決、抑止する鍵を握っているという。

 同氏は「特に製造企業にとって、ブロックチェーンは同様のリスクを低減するうえで役立つ可能性がある」と述べるとともに、「複数のパーツや部品を含んだ大規模な機器があり、ネットワークやサプライヤーが世界各地に散らばっている場合、ブロックチェーンによってサプライチェーン中のすべてのパーツをリアルタイムで捕捉する方法が提供される。このため、問題は拡散する前に特定できるようになる」と述べている。

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