NetAppは11月30日、都内で開催したカンファレンス「NetApp Innovation 2018」のメディア向け説明会で、ソフトウェアやクラウドサービスを中心とする直近の施策を紹介した。背景には、「ストレージ専業メーカーのままでは、いずれ『絶滅危惧種』になる」(プロダクト&オペレーション担当エグゼクティブバイスバイスプレジデントのJoel Reich氏)との危機感があるようだ。
NetApp プロダクト&オペレーション担当エグゼクティブバイスバイスプレジデントのJoel Reich氏
説明の冒頭でReich氏は、企業ビジネスのITの主役がハードウェアからソフトウェアへ、さらにはソフトウェアからデータへ移動していると指摘。ただ、データはさまざまな場所に散在し、動的に変化し続け、多様であるという特性から、同社はデータの活用や管理、保護をいかに効率よく実現するかに焦点をあてていると説明した。
同時に、ITインフラがオンプレミスからクラウドに移行する動きが進み、同社としては双方を使うハイブリッドモデル、あるいはパブリッククラウド中心の利用モデルへの対応も進める。冒頭のReich氏の発言は、ソフトウェアやクラウドに事業を広げなければ、相対的にストレージ装置専門メーカーとして築いた同社の地位が失われていく将来を危惧したものだった。
市場の変化に対応する動きとして、例えばITインフラでは、11月にあえて“後発”と銘打つハイパーコンバージドインフラ(HCI)製品「NetApp HCI」を日本で発売した。従来のHCI製品が抱えたサーバとストレージの関係性に基づくボトルネックを、ストレージメーカーならではのアプローチで解決するというのが“ウリ”だ。また、近年のストレージで主流となりつつあるオールフラッシュ化でも、同社は既存資産を保護しつつ将来のより高速なフラッシュメディアにユーザーが容易に対応していけるメリットを打ち出す。
オールフラッシュ化というストレージのハードウェアトレンドへの対応
Reich氏は、ITインフラの継続的な刷新に取り組みつつ、データに対しては「ファブリック」のアプローチを掲げる。10月には、ストレージOSの「ONTAP」で20年以上提供していたモニタリング機能を大幅に改善し、「NetApp Active IQ」という名称でサービス化した。また、サポートサービスとしてチャット機能の「Elio」も開始した。
同氏によれば、Active IQとElioではIBMのWatsonを使い、ユーザーに関する膨大なデータを学習し続けることで、サービス品質の向上を図る。Active IQでは世界中のユーザーから毎日収集するストレージの稼働データを機械学習し、保守・サポートに利用する。軽微なトラブルなら自動的な修復対応を可能にしているといい、Elioでは、チャットボットによる支援がユーザーに新しい“体験”をもたらすとした。
データファブリックを具現化したサービスの1つとなる「Active IQ」では、マルチクラウドのストレージやデータの統合的かつ効率的な管理を目的にしている