今日のポイント
- 日経平均株価は25日移動平均線上で底堅い動き。これは、ドル/円の軟調や地政学リスクに対する耐性がついたとみられる。実際、韓国市場のリスク警戒指標は「ICBM発射」を重大視していない
- 米ホリデー商戦では個人消費の堅調さを確認できた。特に、アマゾンの株高が象徴するeコマースの拡大は「IT革命」の進展を示唆。2018年も世界経済の成長が見込まれ、株価の先高感は根強い
これら2点について楽天証券経済研究所チーフグローバルストラテジストの香川睦氏の見解を紹介する。
韓国市場はICBM発射を重大視せず
日経平均は今週、25日移動平均線上で底堅い動きを示した。
11月29日未明の北朝鮮による新型ICBM(大陸間弾道ミサイル)発射や、ドル安/円高に対しても、市場は過剰反応しなかった。軍事衝突に至らない限り、この地政学リスクが世界経済や業績の成長の阻害要因にはならないと判断したもようだ。
特に、韓国市場におけるリスク警戒指標の動きに注目したいと思う。
図表1は、韓国株式(KOSPI 200指数)をベースにした「恐怖指数」(ボラティリティ指数)と、韓国ソブリン債のデフォルト(債務不履行)に備えるCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)水準の推移を重ねたもの。
隣国の北朝鮮がミサイル発射しても、同29日の恐怖指数は低く留まり、韓国のソブリンリスクも上昇していない。これは、朝鮮半島情勢が緊張を高めた今年春~夏の局面とは異なる動きである。なお、今週も米国株式市場ではダウ平均が連日、史上最高値を更新。米国の株高はリスク選好姿勢の強さをもって、日経平均の底堅さを支えている。
図表1:ミサイル発射でも韓国市場のリスク警戒指標は落ち着いている

注:Credit Default Swap(CDS) = 韓国のソブリン債(国債)の信用リスク水準を示す。恐怖指数 = 韓国株式の先行き変動予想
出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2017年11月30日)