Hewlett Packard Enterpriseは11月30日までスペイン・マドリードでユーザーカンファレンス「HPE Discover 2017 Madrid」を開催した。最高経営責任者(CEO)のMeg Whitman氏にとっては最後のHPE Discoverであり、次期CEOのAntonio Neri氏と2人で登場し、顧客の前でバトンを渡した。
HPEは強く、アジャイルで、革新的になった--Whitman氏
Whitman氏はHPE Discoverの直前に、2018年1月末でCEOを退くことを明らかにしている。2011年にHewlett Packard(当時)のCEOに就任、PCとプリンタ事業のHPとエンタープライズ事業のHPEの分社を進め、経営立て直しを図ってきた。その後も、一部サービス事業、ソフトウェア事業などを売却し、「コアへのフォーカス」を進めた。次期CEOには、現在HPEのプレジデントを務め、この2年間Whitman氏の片腕として改革を進めてきたAntonio Neri氏が就任することになっている。
Whitman氏は会場の顧客、パートナー、従業員を前に、「ここ数年間、リーダーシップチームを組み立て、安定させた。バランスシートを再構築し、生産性を改善させた。顧客満足度、パートナー満足度が改善した」と切り出した。「新しいHPEを作った。我々はもっと強く、アジャイルで、革新的になった。顧客のビジネスをトランスフォームするための土台が整った」と続けた。

顧客を取り巻く環境は厳しい。Whitman氏は「アプリケーションとデータが燃料になったデジタルトランスフォーメーションが起きている」とし、車、家庭、工場とあらゆるものが接続する時代が迫っていると述べる。データを収集し、洞察を得ることで何ができるのかーー「これがもたらす可能性を想像すべきだ。データのパワーを活用してビジネス上のアウトカム(成果)につなげる。素晴らしいイノベーションを、正しい体験・適切なタイミングで提供する必要がある」と語る。
Whitman氏はエンタープライズITの将来として、次の3要素を挙げた。
- ハイパーコネクテッド
- AI
- 継続的イノベーション
ハイパーコネクテッドで重要なのはエッジだ。「エッジがクラウドを食べる」というGartnerアナリストの予想を引用しながら、「顧客とのインタラクション、工場で製品ができるところであり、最も深いトランスフォーメーションが起こっている」とWhitman氏。ここで新しい体験を作ることができるかどうかが、デジタルトランスフォーメーションに大きな影響を与えると予想する。エッジを活用するためには、セキュリティや制御が大切になると付け加えた。
変化の速度に対応するにあたって、AIをあらゆるところに組み込むことで自動化を進めることができる。さまざまなパブリッククラウド、オンプレミス、ホスティングなどの環境からリソースを効率良く組み合わせ、ビジネスが必要とする時にリアルタイムで提供する。さらには、使用しただけ支払う消費モデルになると予想する。
イノベーションは、大規模なプロジェクトに変わって時間も予算も小規模で高速なイノベーションが主流となる。失敗したら改善するというサイクルを繰り返す形に移行する。
「HPEは複雑性を見えないものにし、望んでいるアウトカムを得られる技術、ソフトウェア、ソリューションを持っている。顧客は自分たちのビジネスだけにフォーカスできる環境を得られる」とWhitman氏はHPEの方向性をまとめた。