展望2020年のIT企業

ソフトテスト業から品質保証業へと変革するSHIFT - (page 2)

田中克己

2017-12-07 07:30

テスト6000件とエンジニア3万人のDBを生かす

 ビジネス拡大のベースは、これまで手がけた累計6000件超のテスト案件になる。今も、年2000件程度のプロジェクトを請け負っており、それらの品質に関するデータを蓄積する。エンジニア約3万人のデータベースもある。

 この2つのデータから、例えばエンジニアAさんはこの業務アプリのテストや開発に何時間かかり、こんなミスをするといったことが分かるという。もちろん、どんな人がテスト、開発に向いているかも分かる。システム開発B社のスマホ・アプリ開発における品質や効率化といったことも分かる。ユーザーの選択にも使える。プロダクトの品質に関するデータからは、例えば1万円のグループウエアと10万円のグループウエアを品質面から比較し、求める要件にあったプロダクトの選択に利用する。

 人材紹介ビジネスも考えられる。SHIFTが、これまで採用したのは応募者の5%程度だという。「当社のビジョンや考えに合わなかったり、興味がなかったりする人もいる」(丹下社長)。求めるスキルが異なることもある。だが、そのスキルを必要とする企業はあるはず。

 SHIFTは、開発の上流から下流までの工程における無駄を、蓄積したデータをもとに改善する。そのために、エンジニアの地位を高めるとともに、品質保証に必要な様々なサービスを揃えていく。いわば品質保証を基盤とする総合商社のような存在ということ。丹下社長は目標1000億円に向けた当面のターゲットを300億円とし、新しいIT企業の創造に動き始めた。

田中 克己
IT産業ジャーナリスト
日経BP社で日経コンピュータ副編集長、日経ウォッチャーIBM版編集長、日経システムプロバイダ編集長などを歴任し、2010年1月からフリーのITジャーナリストに。2004年度から2009年度まで専修大学兼任講師(情報産業)。12年10月からITビジネス研究会代表幹事も務める。35年にわたりIT産業の動向をウォッチし、主な著書に「IT産業崩壊の危機」「IT産業再生の針路」(日経BP社)、「ニッポンのIT企業」(ITmedia、電子書籍)、「2020年 ITがひろげる未来の可能性」(日経BPコンサルティング、監修)がある。

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