もはや「Amazon Web Services」(AWS)はインフラプロバイダーではない。同社(とその顧客)はサーバレスに向かっており、スタック上層に進出して、機械学習やデータ管理、人工知能(AI)などのプラットフォームを提供する企業になっている。
ラスベガスで開催されたAWS主催のイベント「re:Invent」で、同社の最高経営責任者(CEO)Andy Jassy氏が行った講演は、データサイエンティストや、モノのインターネット(IoT)のツールやデータベースを導入しようとしているITプロフェッショナルをターゲットとしたものだった。また、最高技術責任者(CTO)Werner Vogels氏は、未来のコンピューティングのビジョンを披露し、すべてはデータを中心に展開されるようになると語った。
「持っているデータの品質こそが差別化要因になる」とVogels氏は述べている。「データは企業の行動の変化や、新しいシステムの構築手法に決定的な影響を与えるようになる」
Vogels氏によれば、クラウドコンピューティングとは結局「データのお膳立てをする平等主義的システム」であり、「リアルタイムで実行できるニューラルネットワーク」だったという。
新しく発表された数々のサービスをバラバラに見ているだけでは、ニュースの大波に翻弄されて、今回のre:Inventを1つにつなぐ糸は見えてこない。今回のイベントでは、メディアサービスや多数の新規顧客、新しいデータベース、「Alexa for Business」、IoT、機械学習や人工知能など、さまざまな発表が行われた。おそらく筆者が書き漏らしているものもあるはずだ。2日間で、大抵の企業が1年にリリースするよりも多くのサービスをリリースするというのが、以前からのAWSのやり方だ。これまでと違うのは、マネージドサービスやマイクロサービスに力を入れており、サービスをデータの観点から利用し、見ることができるようにしている点だろう。
バラバラの点を結んでみると、AWSが以下のようなテーマを追求していることが見えてくる。
- サーバレス化
- あらゆる場所に組み込まれた人工知能
- Oracleからデータのシェアを奪うことを狙ったデータベースサービス
- IoTによるエッジコンピューティング
- 未来のインターフェースとしてのAlexaと音声
- 開発者が2020年にやりたいことを支えるアーキテクチャの構築とロードマップ
先週発表されたあらゆるAWSのニュースに共通するテーマは、データを通貨として、ワンクリックでデータを管理できる手段を提供するということだ。