英国政府の「Autumn Budget 2017」(2017年秋の予算)では「AIや没入型テクノロジ、自動運転車、生命科学、FinTechといった新テクノロジの世界的リーダーに英国がなれるような、イノベーションによって推進される経済」に向けたビジョンを提示している。さらに、AIや自動運転車、研究開発(R&D)、再訓練、5Gモバイルネットワーク、光ファイバによるブロードバンドといったものに対する予算も計上されている。しかし、こういった野望はEU離脱による経済的現実に立ち向かえるのだろうか?
IT業界のトレンド
IT業界は、迫り来る「第4次産業革命」にどのように立ち向かうのだろうか?WEFによるとICT分野の展望は明るいという。
提供:世界経済フォーラム(2016年に発表された「The Future of Jobs」レポートより)
WEFの調査によると、ICT分野における雇用成長率はあらゆる業界のなかで最も高くなり、スキルの安定性では平均レベルになると予測されているため、今後数年間はどの業界よりも見通しが明るいように見受けられる。
また同調査では、未来の人材開発に向けた戦略という観点から見た場合、現在の従業員のスキルを再構築するという投資への意欲は、ICT分野で81%という平均以上の数値となっている(ちなみに全業界の平均値は65%だ)。
データ:世界経済フォーラム(2016年に発表された「The Future of Jobs」レポートより)
グラフ:米ZDNet
このグラフからは、ICT分野における短期作業員の雇用増大と、教育機関との協力関係への注力、(そして残念なことに)女性従業員の活用に対する関心の低さが見て取れる。
米労働省(DOL)は2016年に、コンピュータおよびIT分野における2026年までの雇用展望を詳細にブレークダウンした報告を発表している。それによると、同分野における雇用は全体として、2016年から2026年の間に全職業の平均を上回る13%の成長をみせるという。また、「クラウドコンピューティングのほか、ビッグデータの集積や保管、情報セキュリティ」がより重視されるようになる結果、需要が増加して50万人以上の雇用が創出されるという。
同分野における2016年の雇用、および2026年の雇用予測の双方において最も数が多いのはソフトウェア開発者であり、その後にはコンピュータサポートの専門家やコンピュータネットワークのアーキテクトが続いている。
データ:米労働省
グラフ:米ZDNet
DOLによると、ICT関連で最も成長が著しい職は、情報セキュリティアナリスト(28%)とソフトウェア開発者(24%)、コンピュータ/情報リサーチサイエンティスト(19%)だという。その一方で、調査対象職種のうち、2016年から2026年で低下が予想されている唯一の職がコンピュータプログラマー(-8%)だ。その主な理由は、新興経済圏へのアウトソーシングの増加にある。
データ:米労働省
グラフ:米ZDNet
興味深いことに、最も給与が高い4つの職のうち3つ、すなわちコンピュータ/情報リサーチサイエンティスト(2016年の中央値は年間11万1840ドル)と、ソフトウェア開発者(10万2280ドル)、情報セキュリティアナリスト(9万2600ドル)は、2016年から2026年の予想成長率も最も高いものとなっている。残る1つの職はコンピュータネットワークアーキテクトであり、2016年の給与は10万1210ドル、同期間の予想成長率は6%となっている。