またSpiceworksは最近、IT関連の人材に関する短期の展望として「2018 State of IT」(2018年におけるITの状況)レポートを発表している。これは、北米および欧州の中小企業から大企業に至るまでのさまざまな組織に勤務している1003人のITプロフェッショナルを対象に同社が実施した、2017年7月の調査に基づいている。なお、対象には製造業界やヘルスケア業界、非営利団体、教育機関、政府組織、金融業界が含まれている。
向こう1年間におけるIT部門の人材計画と、企業規模との間には明確な相関関係が存在している。
データ:Spiceworksの「2018 State of IT」
グラフ:米ZDNet
2018年のIT要員数の変化については、中小規模の企業の過半数が「変化なし」と答えている一方、より規模の大きな企業(従業員数が500人超)の過半数が増やす見込みだと答えている。
IT業界の年次情勢を知るもう1つの指標は、Gartnerの「2018 CIO Agenda Report」(2018年版CIOアジェンダレポート)だ。この調査は、98カ国にまたがる組織(合計すると、およそ13兆ドルの売上高/公共予算、2770億ドルのIT支出となる)における3160人のCIOを対象としたものだ。
Gartnerの調査では、短期的にみてITに特化した需要が高まりそうだということを示す結果がいくつか挙げられている。そして、新たなスキルや獲得しづらいスキルがなければ配備できなかった、あるいは配備できそうにない新テクノロジとしてどういったものがあるのかという質問に対しては、AIが真っ先に挙げられており、その後にはデジタルセキュリティとIoTが続いている。
データ:Gartnerの「2018 CIO Agenda Report」
グラフ:米ZDNet
データ関連のスキルの重要性は、「The Fourth Industrial Revolution Report」(第4次産業革命レポート)で浮き彫りにされている。このレポートの副題は、「Can the UK lead the data-driven world?」(英国はデータ駆動の世界におけるリーダーとなれるのか?)となっており、「見出しが疑問符で終わる場合、その命題は偽と言える」というベターリッジの法則に反するものとなっている。Big Data LondonとHortonworksによるこの調査は、英国のメディア/エンターテインメント業界や、銀行業界、小売業界における250社から寄せられた情報に基づいている。
その結果は、先に引用した調査結果と同様の内容となっている。具体的には、回答者の60%が移転可能なスキルの洗い出しと再配備を見込んでいる一方、半数以上の回答者が常勤の要員を増やす(54%)、あるいは社内や社外の訓練を通じてスキルの向上を図る(52%)としている。
データ:Big Data LondonとHortonworksの「The Fourth Industrial Revolution Report」
グラフ:米ZDNet
ここでも、少なくともIT要員が関与する分野については、迫り来る「革命」は既存の秩序を破壊し尽くすようには感じられない。