内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」

2018年はどの分野にIT投資が向けられるのか - (page 2)

内山悟志 (ITRエグゼクティブ・アナリスト)

2017-12-14 07:30

新規技術への投資意欲が高まる

 製品/サービスの投資意欲を確認するために、110項目について現在の導入状況と今後の投資意欲を問い、その回答結果を基に、導入済み企業における次年度に向けた投資額の増減傾向を「投資増減指数」、未導入企業における次年度に向けた導入意欲の度合いを「新規導入可能性」として、それぞれ算出してマッピングしています。

 そのうち、各種OSや基盤系ソフトウェア、管理ツールなどをまとめたOS/ミドルウェア分野では、「AI/機械学習」と「運用自動化」の2項目が前年からの高い投資意欲をさらに伸ばし、新規導入可能性と投資増減指数ともに上位となりました(図2)。

 また、新たに調査項目に加えた「ディープラーニング」と「ブロックチェーン」は新規導入可能性で極めて投資意欲が高いことが明らかになっています。また、昨今注目が高まっている「RPA」(Robotic Process Automation)についても、新規導入可能性および投資増減指数の両方において高い結果を示しました。


図2.製品/サービスに対する投資意欲(OS/ミドルウェア分野)
出典:ITR「IT投資動向調査2018」(有効回答:2554件)

 サーバシステムやデバイスなどを含むインフラ/デバイス分野では「IoT/M2M(Internet of Things/Machine to Machine)」が、新規導入可能性においても投資増減指数においても突出して高い傾向を示しました(図3)。また、クラウド関連(IaaS、PaaS、SaaS、ハイブリッドクラウドなど)なども総じて高い投資意欲となっています。コンバージド・インフラストラクチャやハイパーコンバージド・インフラストラクチャといった統合型ハードウェアは、新規の導入が多い傾向がみられました。一方、オンプレミス型の大型サーバなどへの投資意欲は低く、ITインフラにおける明らかなクラウドシフトが確認されました。


図3.製品/サービスに対する投資意欲(インフラ/デバイス分野)
出典:ITR「IT投資動向調査2018」(有効回答:2554件)

 その他、業務を直接的に支援するアプリケーション分野では「BI(Business Intelligence)/データ分析」が、複数の業種で最も高い指数を獲得しています。総じて、国内企業がデジタライゼーションの推進に寄与する新分野のテクノロジに積極的に投資する姿が鮮明に表れているといえるでしょう。

内山 悟志
アイ・ティ・アール 代表取締役/プリンシパル・アナリスト
大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストとして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。現在は、大手ユーザー企業のIT戦略立案のアドバイスおよびコンサルティングを提供する。最近の分析レポートに「2015年に注目すべき10のIT戦略テーマ― テクノロジの大転換の先を見据えて」「会議改革はなぜ進まないのか― 効率化の追求を超えて会議そのもの意義を再考する」などがある。

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