海外コメンタリー

“シンフォニックな企業”を生み出す2018年のIT潮流--デロイト

Tom Foremski (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2017-12-20 06:30

 コンサルティング会社Deloitteの予測によると、企業は新しいテクノロジを個々にマスターするのではなく、それらを調和させて使用できるようになるという。


「Tech Trends 2018」レポートの表紙

 同社はこのほど、9回目となる年次テクノロジトレンドレポート「Tech Trends 2018」を公開した。その内容によると、企業は領域特化型のアプローチを採りながら、新規テクノロジの統合に向かっていくという。

 同レポートの主な執筆者であり、Deloitte Consultingの最高技術責任者(CTO)であるBill Briggs氏と、テクノロジ担当マネージングプリンシパルのCraig Hodgetts氏は以下のように記している。

 このような破壊的機会に対して今までの企業は、テクノロジという領域内での変革イニシアティブによって取り組んでいくケースが多かった。その例として、領域特化型のクラウドやアナリティクス、ビッグデータを用いたプロジェクトを挙げることができ、これらは良く言えば未来に全幅の信頼を置いた、いちずで大胆なものだった。また、「最高デジタル責任者」(CDO)や「最高アナリティクス責任者」(CAO)といった幹部職の存在も、領域特化型の考え方に主軸を置くものだった。

 しかし、一部のシステムを個々のテクノロジ領域内で扱うという考え方はせいぜい次善の策にしかならないということに企業が気付くまでにさほど時間はかからなかった。複雑な予測アナリティクス機能は、ビッグデータの助けなしにはほとんど価値をもたらさず、そのビッグデータもクラウドの助けなしにはコストがかさみ、非効率的なものでしかなかった。

全体論的なアプローチ

 Deloitteによると、「未来志向な考え方」を持つ企業は領域特化型のイニシアティブという考え方から解き放たれつつあるという。

 そして、調査/検討やユースケース、配備をより全体論的に捉え、より大きな価値を生み出すために、破壊的なテクノロジそれぞれをどのように相互補完させるかに注力しているという。

 例えば、ブロックチェーンは企業の内外を通じた信頼関係を実現するための新たなプロトコルの土台として利用できる可能性がある。認知テクノロジは企業における業務領域すべてをまたがる自動化を可能にする。デジタルリアリティは、人と人との間に存在する地理的な障壁を取り除くとともに、人とデータとの間に存在するシステム上の障壁をも取り除く。こうしたテクノロジすべては、仕事の進め方を土台から再構成したり、新たな製品やビジネスモデルに向けたステージを作り上げることもできる。

 その行き着く先が、「シンフォニックエンタープライズ」だ。シンフォニック(調和のとれた)エンタープライズとは、野心的事業への取り組みを高い確度で成功させるために、複数の破壊的テクノロジを組み合わせられる企業組織のことだ。

 テクノロジが調和して連携できれば、企業は垂直(業務や個々の業界といった視点での注力)や水平(業務プロセスや、違いをもたらすテクノロジといった視点での注力)という考えから解放される。シンフォニックエンタープライズにおいて、旧来の境界線は曖昧なものとなるため、新たな事業機会と、問題解決に向けた創造的な手段を浮き彫りにする超越的な視点がもたらされるのだ。

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