「Kubernetes」はこの10月、最後に残っていた競合に白旗を掲げさせ、事実上の標準クラウドコンテナオーケストレーションプログラムとなった。またKubernetesはその後、Amazon Web Services(AWS)によって採用されたことで、あらゆる大手のクラウドプラットフォームで利用可能になった。このため、「Kubernetes 1.9」は申し分のない状況でリリースされたと言える。
米国時間12月15日にリリースが発表されたKubernetes 1.9は、より豊富な機能セットを搭載するとともに、安定性を向上させている。特に注目すべきは、「Apps Workloads API」が安定版となり、GA(一般提供)となったことだ。これにより、「DaemonSet」や「Deployment」「ReplicaSet」「StatefulSet」といったAPIによって、長時間にわたって稼働するKubernetesのステートレスなワークロードやステートフルなワークロードの基盤が生み出される。ただ、「Batch Workloads API」(JobおよびCronJob)は現在もベータ段階にあり、今回の取り組みには含まれておらず、正式な安定版に向けて異なる道を歩んでいくという。
Kubernetesにおいて最もよく使用されるDeploymentオブジェクトとReplicaSetオブジェクトも今回、安定版となった。Apps SIGは過去数回のリリースサイクルで学んだ教訓を4種類のリソースすべてに適用し、DaemonSetとStatefulSetについても安定版に移行した。
また、「Windows Server」上で稼働する「Docker」で「Windows」アプリを管理、実行するという機能が、このリリースからベータ段階に移行している。
永続的データストレージに関してKubernetesは当初から、一般的に使用されているNFSやiSCSIのほか、パブリッククラウドやプライベートクラウドの大手プロバイダーが提供するストレージソリューションのネイティブサポートといった、複数のオプションを提供してきている。その後もさらに多くのストレージオプションが追加されてきているものの、新たなストレージシステムに対するボリュームプラグインの追加についてはある種の課題を抱えていた。
Kubernetesの開発者らは、「Container Storage Interface」(CSI)を採用してこの課題に取り組んでいる。CSIは業界共通の規格を作り出すというイニシアティブであり、その目的はクラウドネイティブなストレージの互換性を保証しつつ、その開発障壁を下げるというものだ。Storage SIGとCSIコミュニティーは、ストレージのプロビジョニングとアタッチ、マウントのための単一のKubernetesインターフェースを生み出すために力を合わせている。
今回のリリースでは、CSIのアルファ版実装が採用されている。なお、CSIの使用は明示的に有効化する必要があり、本番環境での使用は推奨されていない。その目標は、新たなボリュームプラグインのインストールをポッドの配備と同じくらい簡単にするというものだ。
Kubernetes 1.9はGitHubからダウンロードすることができる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。