2017年12月に開催されたHome Depotのアナリストミーティングで、同社のオンライン事業担当プレジデント兼最高マーケティング責任者Kevin Hofmann氏は、Home Depotはデータを扱う能力とプラットフォームへの投資を進めていく予定だと述べている。
「データは今後わが社の事業の核になる。米国の大半はわが社のデータベースに入っている」とHofmann氏は言う。実際、Home Depotは1週間に1兆件のデータポイントをモデルに取り込んでいる。このデータの一部はトランザクションに関するものであり、多くは地域向けに調整されている。これによって、Home Depotは地域社会や店舗近郊の事情、企業などを大規模に理解することができる。また同社は、マクロ的な問題に掘り下げることもできる。Home Depotでは、データを利用することでマーケティング費用を削減しており、例えば天候によって自動的に展開される広告のセットを持っているという。
Hofmann氏は、Home Depotの取り組みは始まったばかりだと述べているが、データは通貨であるというテーマは、ほかの企業の業績発表でも頻繁に登場している。
もっとも難しいのは、データをクリーニングして分析に使えるようにするプロセスだ。企業はこれまで、この作業を十分に行ってきていない。
AIウォッシング
読者はおそらく、ほとんどのエンタープライズテクノロジ企業が、何らかの形でAIや機械学習に触れていることに気づいているはずだ。クラウドプロバイダーもAIをキーワードの1つにしている。「AIウォッシング」とは、AIというキーワードを加えることで古いテクノロジを新しく見せようとする傾向などを指すが、2017年の状況はまだ序の口だ。これまではクラウドウォッシングが盛んだったが、今後はAIウォッシングの波が襲ってくる。2018年には、あまりにもAIに関する言及増えすぎて、この言葉はほとんど無意味になるだろう。受け手としてできるのは、少し慎重になって、ベンダーにいくつかの厳しい質問を投げかけることだ。例えば、次のような質問が考えられる。
- 行動を可能にする知見を提供するために使われているデータに、ほかの企業との違いはあるか。
- そのAIは、人間ではわからないことを教えてくれるのか。
- 処理はクラウドアーキテクチャで大規模に行われているのか。
- ビジネス価値を定量化したAIの利用事例はあるか。
- アルゴリズムの中身はどういうもので、自社のデータサイエンスチームで事前に中身を確認できるか。
- 自社のデータを使って、AIに何ができるかを事前に知ることはできるか。AIを使う前と後で何が変わるのか。
- 使われているプラットフォームは、自社で使っているものと組み合わせることができるか。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。